◆全国高校ラグビー第2日(28日・花園ラグビー場) 1回戦14試合が行われ、聖光学院(福島)が18―17で近大和歌山との…

◆全国高校ラグビー第2日(28日・花園ラグビー場)

 1回戦14試合が行われ、聖光学院(福島)が18―17で近大和歌山との接戦を制し花園初勝利。昨年は初戦で0―112と大敗したが、今年就任した元日本代表LO・宇佐美和彦監督(33)が恩師エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの教えを生徒たちに説く指導で壁を越えた。30日の2回戦は筑紫(福岡第2)と対戦する。光泉カトリック(滋賀)は106―3で山形中央に大勝し、県勢初の100得点勝利を挙げた。

 リアル「スクール☆ウォーズ」の幕開けとなった。ラストプレーのコンバージョンキックがわずかに外れると、聖光学院フィフティーンは狂喜乱舞。1点差で念願の花園初勝利だ。「最後は見てられなかった」。今春就任した宇佐美監督は思わず胸をなで下ろした。

 昨年は初戦でテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルで、伏見工を前身とする京都工学院に0―112で大敗。「花園1勝」を合言葉に新米監督と汗を流してきた。伏見工も“泣き虫先生”山口良治監督(現総監督、82)就任の75年春、花園高に0―112で敗北。昨年、スタンド観戦した山口総監督が「0―112で負けた昔を思い出した」と回想した一戦を糧にリベンジした。かつての名門と同じ元日本代表が率いる新興校が歴史を変えた。元日本代表の宇佐美監督は「歴史をつくろうと話してきたのでうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

 “エディー流”で壁を越えた。指揮官は現役時代、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(65)の下でプレーするなど代表10キャップ。その経験を注入した。エディー氏も大切にした「自主性」を部員に求め、全体練習は長くても2時間で朝練は希望制。「自分で考えて取り組まないと試合に出られない」と伝える。元日本代表のアニセサムエラ(39、BL東京コーチ)を父に持つLO・アニセマウシオ(2年)は「強制されることがない。自主性が強いチーム」と胸を張る。

 スタメンは全員1、2年生。今春にラグビー部専用寮が完成するなど2年生の代から、県外の有望株が門をたたくようになった。数人いた3年生は部を離れたが唯一、リザーブの須田が残った。須田はこの日は体調不良でベンチ外だったが、次戦の30日・筑紫戦は復帰見込みで「花園でプレーさせてあげたい」と宇佐美監督。3学年一丸で年を越し、ドラマのような新時代をつくる。(直川 響)

 ◆「スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~」 1984~85年放送のTBS系連続ドラマ。俳優・山下真司(74)が演じる主人公の熱血教師・滝沢賢治が赴任した川浜高校の弱小ラグビー部を全国優勝に導く物語。75年4月から伏見工(現・京都工学院)の監督に就任し、80年度に花園初優勝を果たした山口良治氏がモデルとなっている。「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」「信は力なり」など名言多数。歌手の麻倉未稀(65)が歌う主題歌「ヒーロー」もヒット。ラグビーブームを巻き起こした。