スピードスケート 全日本選手権・ミラノコルティナ五輪代表選考会 最終日(28日、長野市エムウェーブ) 女子1500メート…

スピードスケート 全日本選手権・ミラノコルティナ五輪代表選考会 最終日(28日、長野市エムウェーブ)

 女子1500メートルは、ミラノ・コルティナ五輪代表の高木美帆(31)=TOKIOインカラミ=が1分55秒12で2連覇した。レース後には、所属の垣根を越えて一緒に練習を積むために自ら立ち上げた「チーム・ゴールド」の今季限りでの解散を表明。自身も4度目の五輪に向けて集大成と位置づけるシーズンで1500メートルでの悲願の金メダル獲得へ、年内最終戦で課題と収穫を得た。男子1000メートルは山田和哉(24)=ウェルネット=が優勝し、ミラノへの切符を手にした。大会後には五輪代表14人が発表された。

 本命種目の年内最終戦を勝利で飾り、高木が3大会連続4度目の五輪代表に正式に選ばれた。メンバー最年長の31歳で臨む五輪へ、白いジャージーに袖を通すと「身の引き締まる思い。日の丸を背負う責任感を感じている」と強い覚悟を口にした。現状は3種目にエントリー。リザーブとなっている500メートルは出場を選択する権利がある。本番直前まで熟考するが、「出るつもりの方が強い」と前向きに検討していく。

 最大のターゲットが初の金メダル獲得を狙う1500メートルだ。今季初戦から課題としているラスト1周は31秒73とラップが1秒82減速。それでも「完璧ではないが大崩れしたわけではない。トライした結果」と、徐々に取り組んできていることに手応えを感じている。

 ミラノ五輪同種目は、自身が出場する中では最後のレースとなる。今大会も500、1000メートルを滑ってから本命種目に臨んだ。3種目を滑り終え、「自分の体の使い方が大事になると感じた」と発見があった。反動が大きく出たといい、照準を定める五輪に向けて、体力温存へ体の動かし方を見直していく。

 レース内容に満足はしていないが、ゴール後はヨハン・デビット・コーチ(46)と笑顔で抱き合った。「このチームで、このリンクで滑るのは最後。チームが解散するのは決まっている」と23年春に自ら作った「チーム・ゴールド」の解散を宣言。国籍や所属の垣根を越え、ミラノ五輪で世界の頂点を目指すスピードスケートの越境チームで、2人の中国選手含む7人で鍛錬を積んできた。

 自身は今季を集大成として位置づけるが、「私の進退に関わる話ではない」とチームの解散とは無関係を強調した。この日の1500メートルでは佐藤綾乃(29)=ANA=、堀川桃香(22)=富士急=で表彰台を独占。3人とも五輪団体追い抜きメンバーに選出。「自分の目指し続けてきたゴールにたどりつけるように、全速力でやっていきたい」。夏冬通じて日本女子初の2ケタメダル獲得の偉業に挑む。(富張 萌黄)

 ◆高木 美帆(たかぎ・みほ)1994年5月22日、北海道・幕別町生まれ。31歳。帯広南商、日体大卒。18年世界選手権総合優勝。19年に1500メートルの世界記録樹立。20年全日本選手権で史上初の5種目V。五輪は10年バンクーバー大会に史上最年少15歳で出場し、18、22年の2大会で獲得した通算7個のメダル(金2、銀4、銅1)は夏冬通じ日本女子最多。家族は両親と兄、平昌五輪2冠の姉・菜那さん。164センチ。