<全国高校サッカー選手権:早実1-4徳島市立>◇28日◇1回戦◇国立4大会連続22回目の出場となる徳島市立が、国立開幕戦…

<全国高校サッカー選手権:早実1-4徳島市立>◇28日◇1回戦◇国立

4大会連続22回目の出場となる徳島市立が、国立開幕戦で地元の早実(東京B)に4-1と快勝した。前半36分のMF芳田翠(2年)の先制点を皮切りに自分たちも驚く怒濤(どとう)の4ゴールで、6大会ぶりの初戦突破を決めた。2大会連続3度目の優勝を狙う前橋育英(群馬)や前回準優勝の流通経大柏(千葉)、インターハイ王者の神村学園(鹿児島)ら強豪が顔をそろえた104回目の冬の風物詩。準決勝は来年1月10日、決勝は同12日に国立で行われる。

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国立の舞台にのまれることはなかった。逆に素早い攻守で相手をのみ込んだ。初の6万人会場。徳島市立の河野監督は選手たちに伝えた。「あれだけお客さん入っても、キャパが大きいから入っているように見えへんよな」。明るい指揮官の声に選手たちが応えた。

前線からのプレスが相手のクリアミスを誘い、MF逢坂のパスから芳田が右足で先制点。後半2分にはFKからDF柏木が頭で押し込み追加点を挙げた。同15分にはクロスボールをMF東海林が押し込み、さらに同33分には途中出場のMF山本の鮮やかなジャンピングボレーまで決まり、チームはまさにお祭り騒ぎ。地元名物「鳴門の渦潮」のごとく早実をのみ込んだ。

6大会ぶりの初戦突破。徳島県勢としては、02年度の開幕戦で鳴門が1-0で水橋(富山)に勝って以来となる国立勝利だ。先制点の芳田は「初戦はここ最近負けていたので、絶対に勝つという強い気持ちで臨んだ。自分が流れを作るという意識を持っていた。ゴールは気持ち良かったです」と笑顔を見せた。

同校は徳島県屈指の進学校であり、サッカーの強豪校。河野監督が高校時代の91年の全日本ユース、92年のインハイも制している。しかし近年は全国で勝ち上がれずに苦戦。その背景には少子高齢化問題も横たわる。2050年問題。人口推移の見通しでは徳島も今後30年で人口が30%も減ると予測される。そんな中、同県は施策として県外にも広く人材を求めて門戸開放。スポーツや文化活動の実績を評価する育成型選抜で入学する選手が増えた。

先制点の芳田が奈良出身というように登録30人中26人が県外出身。学区が設けられる公立校ながら自由な選択ができる“グローバル化”が進む。芳田は「練習会から雰囲気が良くてすごく楽しかった。この学校の選択は間違いではなかった」。変わりゆく高校サッカーの形。公立の雄が私立優勢の選手権で、下克上に向かう。【佐藤隆志】