KOこそならなかったものの、井上は力の差を見せつけた(C)Getty Images ボクシング世界スーパーバンタム級4団…

KOこそならなかったものの、井上は力の差を見せつけた(C)Getty Images

 ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が現地時間12月27日、サウジアラビア・リヤドでアラン・ピカソ(メキシコ)との防衛戦に臨み、3-0の判定勝ちを収めた。「The Ring V: Night of the Samurai」のメインイベントとして、同国での初めての試合となった井上は、公言していたKO勝利こそならなかったものの、チャンピンオンとしての強さを存分に示すファイトを披露した。

【動画】繰り出されるボディショット!井上尚弥の“音”に着目

 序盤からガードを固めるピカソに対し、井上が一方的にパンチを当て続けるという展開が繰り広げられた。時折繰り出される相手のパンチにも井上は冷静に対応し、カウンターでの攻撃も見せるなど、あらゆる局面で試合をコントロールし続けた。12ラウンドを戦い抜き、ジャッジも119-109、120-108、117-111と大差に。終始、ピカソに付け入る隙を与えなかった井上が今年4度目の防衛を成し遂げている。

 試合後のインタビューで井上はこの日の内容を振り返り、「良くなかった」という言葉を繰り返すなど、最後まで相手を倒し切れなかったことへの素直な思いを、大観衆の前で打ち明けていた。

 だが、王座防衛やキャリア32連勝という記録は称えられるべき事実であることは言うまでも無い。当然、各国メディアでも、リヤドのリングにおける“モンスター”の勝利を大きく報じている。

 アルゼンチンメディア『infobae』では、「ナオヤ・イノウエは終始優位に立ち、疑いの余地のない判定でピカソを下した」とレポート。さらに、同メディアは、「イノウエが記録した有効打数は、ピカソを158発も上回っていた」と王者のパフォーマンスを評した。

 また、海外スポーツサイト『MARCA』メキシコ版も、井上の試合内容を絶賛。「イノウエは多彩な角度から有効打を当て、試合を大きく支配した」などと綴っている他、これまでの足跡についても、「その圧倒的な戦績が示す通り、イノウエは強烈かつ威圧感のあるファイターであり、多くの試合で相手をキャンバスに沈めてきた。不敗のまま勝利を重ねる姿は、まさに絶対的王者と呼ぶにふさわしい」と見解を示している。

 勝利後、次戦以降の相手として、中谷潤人(M・T)やジェシー・“バム”・ロドリゲス(米国)の名前を挙げられ、それぞれに戦う意欲を示していた井上。さらに、フェザー級転向のビジョンも描いている統一チャンピオンは、今後もさまざまなシチュエーションで、ファンを魅了するボクシングを見せてくれるはずだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】「僕は勝者だと思っている」井上尚弥に敗れたピカソが本音吐露 打ち合った“怪物”に何を感じたのか?「正直、もっとパワーがあると警戒した」

【関連記事】「倒せなかった試合、ではない」気持ちの“折れない”ピカソを封じた井上尚弥の巧みさ「極めて高度な技術戦だった」

【関連記事】「3、4年で世界一のボクサーになる」井上尚弥がスペイン紙に明かした“近未来構想” 敵知らずの怪物の行く末は――