<浜松開誠館 赤き血のイレブン 23>全国高校サッカー選手権が28日、国立競技場(東京)で開幕した。3年ぶり3度目の出場…
<浜松開誠館 赤き血のイレブン 23>
全国高校サッカー選手権が28日、国立競技場(東京)で開幕した。3年ぶり3度目の出場で、冬の全国初勝利を目指す浜松開誠館はこの日、開会式に参加。29日の1回戦では九州文化学園(長崎)と対戦(神奈川・U等々力、午後2時10分)する。チームの顔ぶれを紹介してきた連載の最終回は背番号「10」をつけるMF川合亜門(3年)とMF志賀朋希(2年)。川合は同校中等出身の頼れる主将。あこがれのピッチで中高6年間の集大成を見せる。
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あこがれ続けたピッチに立とうとしている。川合主将は「選手権に出るために開誠館にきた。中1から開誠館でプレーして人間的にも成長させてもらった。最後は恩返しをしたい」。高校生活最後の大会は感謝の思いも胸に秘めてピッチに立つ。
川合は同校が全国選手権に初出場した18年度大会をテレビで観戦。懸命に戦う姿にあこがれて入学を決意した。前回出場時の22年度はスタンドで観戦し、「次は自分がこの舞台に立つ」ことを目指した。中学3年時には主将として全国中学体育大会優勝に貢献。当時は「中3」で高校トップチームの公式戦に出場するなど、将来を嘱望されていた。
だが、思い描いていた高校生活とは違った。2年時には「ほとんど試合に出ることがなかった」。足先だけに頼り、軽率だったプレーを指摘された。川合は「自分でも分かっていたし、どこかで勘違いしていたかもしれない」。屈辱のBチーム落ちが自身を見つめ直すきっかけになった。
「開誠館はハードワークをしないと試合に出られない。もう1度そこを徹底するように意識した」。練習では懸命にボールを追い、球際でのバトルにもこだわった。チームのために戦う。仲間からの信頼も勝ち取り、最終学年は主将を任された。
左足のキックは超高校級。もともとのうまさに、力強さを身につけて全国舞台に挑む。県選手権では4戦無得点。「チームのために走る」がモットーだが、全国では結果にもこだわる。「攻撃的なポジションで出ている以上、ゴールとかアシストは必要。チームが苦しい時に試合を動かせる選手になりたい」。目先の目標は全国選手権での初勝利。夢は「国立で勝つこと」と言った。開誠館で積み上げてきた中高6年間の集大成。その全てを出し尽くす。【神谷亮磨】(おわり)
◆川合亜門(かわい・あもん)2007年(平19)5月25日生まれ、浜松市生まれ。小1から浜松龍禅寺FCで本格的にサッカーを始め、中学時代は浜松開誠館中でプレー。175センチ、65キロ。左利き。血液型O。家族は両親、姉。
○…選手たちは「聖地国立」で堂々と入場行進した。開会式では全体の22番目で入場。川合が旗手を務め、登録メンバーは足並みをそろえながら引き締まった表情で行進した。この日は午前中に練習を実施。軽めのメニューで最終調整した。初戦で対戦する九州文化学園は今大会唯一の初出場校。実力は未知数だが、試合の映像を見て分析しており、対策も練っている。青嶋文明監督(57)は「相手の左サイドは強力だけど、しっかり準備をしてきた」。離脱していた主力のケガ人も復帰。全国3735校の頂点を目指し、万全のチーム状態で出陣する。