壮絶な打ち合いを見せた中谷とエルナンデス(C)Getty Images 転級初戦で、“ビッグバン”は明らかな苦戦を余儀な…

壮絶な打ち合いを見せた中谷とエルナンデス(C)Getty Images

 転級初戦で、“ビッグバン”は明らかな苦戦を余儀なくされた。

 現地時間12月27日、ボクシングの前WBC&IBF世界バンタム級統一王者の中谷潤人(M.T)は、サウジアラビアの首都リヤドで、スーパーバンタム級ノンタイトル12回戦を実施。WBC世界同級10位セバスチャン・エルナンデス(メキシコ)に3-0(115-113×2、118-110)判定勝ちを収めた。

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 内容は中谷にとってシビアなものとなった。20戦全勝(18KO)のキャリアを誇り、よどみなくパンチを繰り出すエルナンデスを前に、押される場面も散見した27歳は、強打を幾度か被弾。痛々しく腫れ上がった右まぶたは、激闘の模様を物語った。

 もっとも、3人のジャッジはいずれも中谷を支持。2人は2ポイント差だったものの、1人は8ポイントの大差をつけた。これは相手に被弾させたパンチの割合(中谷が35.5%、エルナンデスが29.6%)がエルナンデスを上回った結果などが影響を与えたと見られる。

 ただ、右まぶたのダメージもさることながら、珍しく後手に回る場面も見られた中谷。それだけにジャッジには異論が噴出。元世界ヘビー級王者のマイク・タイソンらを指導し、米スポーツ専門局『ESPN』で解説を務めるテディ・アトラス氏は自身のXで「試合は長期戦となり、激しい打ち合いになれば、“アンダードッグ”にも勝利するチャンスがある」と言及。その上で、「残念ながら、ジャッジの考えは私とは違ったようだ。とくに118-110という判定は、無能なのか、それとも不正か?」と辛辣に綴った。

 採点結果から勝利にケチが付く形となった。一方、リング上で中谷と拳を交わしたエルナンデスは、周囲の喧騒をよそに、勝者を称えている。

 試合について「盗まれた」とも伝えた地元メディア『IZQUIERDAZO』のインタビューに応じた25歳は、「何よりも無事にリングを降りられて本当に良かった。それが一番大事なことだ」と吐露。「互いに何度も打撃を受けあった。その中で二人とも素晴らしい戦いを見せたと思う」と続けた。

「ジュントは偉大なファイターだった。試合の中での調整力というか、勘の良さと動きの良さがあった。どう対応すべきかを分かっていたと思う。間違いなくパウンド・フォー・パウンドの力量を備えていた」

 間違いなく僅差ではあった。そうした経験をふまえて「いい勉強になった」と語った中谷。来年5月には井上尚弥(大橋)との日本ボクシング史に残るスーパーファイトも予定されているだけに、ここからどう成長するかに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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