2025年の高校野球は、センバツ優勝の横浜、夏の甲子園優勝・沖縄尚学を中心にファンを虜にするような熱戦が相次ぎました。今…

2025年の高校野球は、センバツ優勝の横浜、夏の甲子園優勝・沖縄尚学を中心にファンを虜にするような熱戦が相次ぎました。今年最後の『グラカン』はそんな2025年の高校野球を盛り上げた選手をベストナイン方式で選出させていただきました。

投手 末吉 良丞(沖縄尚学)

捕手 横山 悠(山梨学院)

一塁手 佐藤 仁(西日本短大付)

二塁手 奥村 凌大(横浜)

三塁手 櫻井 ユウヤ(昌平)

遊撃手 岡部 飛雄馬(敦賀気比)

外野手 阿部 葉太(横浜)

外野手 横山 温大(県岐阜商)

外野手 藤森 海斗(明徳義塾)

 末吉投手は夏の甲子園優勝、沖縄で開催されたU-18代表で2年生ながらエース格として活躍した実績を評価しました。開きが遅く、打ちにくい140キロ台中盤のストレート、スライダーを投げ込みます。末吉投手よりストレートの速い投手はいますが、投球術などをもろもろを評価して、最も打ちにくい投手として選出しました。

 横山選手はスローイング、キャッチング、ストッピング能力、インサイドワークなど捕手として求められる能力をすべて満たしており、他校の監督からもその力量の高さを絶賛されていました。U-18代表では正捕手として活躍し、準優勝に貢献しました。

 佐藤選手は選抜で豪快な本塁打を放ち、今年の一塁手では屈指の長打力と技術を持ったスラッガーでした。夏の甲子園では13打数3安打だったものの、2回戦の聖隷クリストファー戦で高部陸投手から勝ち越しの二塁打を記録するなど、西日本短大付の勝利に貢献する強打が印象的でした。

 奥村選手は卓抜した二塁守備で多くの勝利に貢献しました。高校野球ファンを唸らせたのは、夏の甲子園準々決勝・県岐阜商戦の9回裏、二死満塁のピンチの場面です。相手打者が放った打球は奥村選手のもとへ転がります。しかし一塁手がベースに入るのが遅れ、奥村選手は咄嗟の判断で二塁へ封殺し、延長戦に持ち込みました。負ければサヨナラという状況の中で冷静な判断ができる奥村選手の凄さを実感しました。

 櫻井選手は夏の埼玉大会で20打数10安打、1本塁打11打点の大活躍。決勝・叡明戦で見せた豪快な本塁打は櫻井選手らしい一打でした。圧倒的なパワーに加え、感情表現が豊かで夏の大会では勝利して大きく喜ぶ姿が印象的でした。

 岡部選手は春夏の甲子園を経験し、どの大会でも鮮やかな守備を見せるショートストップとして活躍しました。U-18代表では25打数10安打、7盗塁の活躍で盗塁王を獲得。パナマ戦でサヨナラスクイズを決めるなど、ここぞという場面で頼りになるプレーヤーとして選出しました。

 阿部選手は横浜の主将としてチームを牽引し、選抜では22打数10安打、1本塁打10打点の活躍で優勝に貢献。夏の甲子園では16打数6安打。全国の舞台で大活躍しました。技術だけではなく、メンタルの強さも超一流で、夏の神奈川大会準々決勝の平塚学園戦では逆転サヨナラ打。この一打は多くのファンが絶賛しました。インタビューをしていても、高校生にはないオーラがあり、横浜の村田監督が2年生から主将として託したくなるのも分かる気がしました。U-18代表でも主軸として活躍。今年の高校野球を大きく盛り上げた選手でした。

 横山選手は左手のハンディがありながらも甲子園ではそれを感じさせないプレーを見せました。5試合で5安打。横浜戦では抜けそうな打球をなんとか捕球し、先制点を許さない大ファインプレーを見せて、甲子園のヒーローとなりました。普段、高校野球をあまり見ない方も横山選手の活躍は目に焼き付いたと思います。元プロ、現役のプロ野球選手からも横山選手の努力、技術の高さは絶賛されていました。

 藤森選手は選抜で4打数2安打、夏の高知大会で12打数6安打と巧打を発揮したのが評価されて、U-18代表入り。木製バットを使ったU-18代表では、140キロを超える速球投手に対してもしっかりと粘った末にヒットを放ったり、相手の隙をついた走塁を見せたりと、2番打者として大きな役割を果たしました。日本ハムから5位指名を受け、今年の高校生を代表する外野手へ成長しました。

 2026年世代にとって最初の全国大会となった11月の明治神宮大会を見ると、個性的な選手が多く、2026年の高校野球はとても盛り上がりそうな1年になりそうです。

 来年もキラリと光る球児たちを多く取り上げていきたいと思います。