2025年もいよいよ残り4日。2年ぶりのセ・リーグ制覇を果たした阪神では、今季も名シーンが数多く生まれました。現場を見て…
2025年もいよいよ残り4日。2年ぶりのセ・リーグ制覇を果たした阪神では、今季も名シーンが数多く生まれました。現場を見てきた阪神担当記者が、思い出のシーンをピックアップする年末企画。第2回は「グッジョブ」編。
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◆「村上頌樹、開幕戦で快投」(3月28日、対広島=マツダスタジアム)
チームとしても、個人としてもここから快進撃が始まった。自身初めて開幕戦で先発。リーグワーストタイ11敗を喫した昨季から切り替えて、まっさらなマウンドに上がった。完封勝利未遂の8回2/3を135球4安打無失点に抑えた。白星発進を決めて自身は開幕3連勝から最終的にリーグ3冠。昨年のことを引きずらず、勢いをつけられる一戦となった。【塚本光】
◆「植田海、熊谷敬宥の連続適時二塁打」(7月4日、対DeNA=横浜)
同戦は途中出場の両選手が連続長打で打点を挙げた。1点リードの9回1死二塁。代走から出場の植田が右越え適時二塁打で追加点。続く熊谷は1死二塁から左越え適時二塁打を放った。熊谷は今季プロ初本塁打などもあったが、植田は今季初安打で約1年ぶりの打点だった。守備固めや代走として活躍することも多い2選手が打撃面で躍動。2リーグ制後プロ野球最速のリーグ優勝を達成した、チームの層の厚さを見せつけるようなシーンでもあった。【塚本光】
◆「森下翔太のバックホーム」(7月13日、対ヤクルト=甲子園)
レーザービームでチームの窮地を救った。2-0の9回。1点差とされ、なおも1死二、三塁から右飛を打たれた。犠飛で同点かと思われたが、右翼を守る森下が本塁へストライク送球。タッチアップしていた三塁走者をアウトにして勝利を決めた。
「浜風がちょっと弱まっていたので若干さされたけど、その中でもいい送球ができた。もうちょっと裏から入れたら良かったけど、ちょっとさされたなと空中で思ったので、若干その中で体勢を直して投げるというところはしました」
空中でまで考え続けたスーパープレー。「打撃は失敗が多いものなので常に高みを目指していくものだけど守備は100%を目指せる」と話す守りでも貢献し、初のゴールデン・グラブ賞にも輝いた。【塚本光】
◆「エリア51・中野拓夢の曲芸技」(8月19日、対中日=京セラドーム大阪)
5回、1点リードの1死一、三塁で右翼手前ライン寄りに飛球が上がった。二塁手の中野は猛スピードで落下点に走り、曲芸のようにダイビングキャッチ。すぐ起き上がり、三塁走者のタッチアップを許さないスーパープレー。中野が得意とするプレーだが、数ある中でも強いイメージが残っていたため選出した。【柏原誠】
◆「藤川監督の神の手」(10月23日、ドラフト会議)
創価大・立石に広島、日本ハムと3球団競合。くじ引きはラストの3番目。直前の日本ハム新庄監督がじらしながらくじを選ぶ姿を見て、笑顔を見せると「残り福」を手にした。リーグ優勝に続き、元虎戦士3監督による勝負も制し、勝負強すぎる…と素直に思った。【磯綾乃】
◆「島田海吏、地元九州の日本シリーズで抜てきに応える」(10月25日、対ソフトバンク=みずほペイペイドーム)
地元での日本シリーズ初戦に「6番左翼」先発出場で攻守に躍動した。今季のレギュラーシーズン中のスタメンは4度だけ。1点を追う5回に先頭で二塁への内野安打で出塁すると二盗も決めた。流れをつくって6回の逆転につなげると、守備では8回に俊足を生かして左翼線への大飛球を追いかけて好捕。「今年はチームに迷惑をかけてばかりで何もできなかった。本当に監督の期待に応えたいと、それだけでした」。島田は熊本出身。代走や守備固めなどでの途中出場も多いプロ8年目が、地元九州で重要な一戦で意地を見せた。【塚本光】