プロレスリング・ノアは来年元日に日本武道館で「NOAH “THE NEW YEAR” 2026」を開催する。 メインイ…
プロレスリング・ノアは来年元日に日本武道館で「NOAH “THE NEW YEAR” 2026」を開催する。
メインイベントは、GHCヘビー級王者Yoshiki Inamuraが「T2000X」OZAWAと2度目の防衛戦を行う。Inamuraは昨年11月からWWE傘下の育成ブランド「NXT」に参戦。今年7月12日(米国時間)にはNXTデビューから異例の早さでNXT王座に初挑戦するなど最前線で活躍した。今秋に凱旋帰国し11・8後楽園ホール大会でKENTAを破り、GHCヘビー級王座を初奪取した。デビュー7年目でようやく手にした栄冠。元日では、王者として武道館のメインイベントを初めて務める。スポーツ報知は決戦直前のInamuraを直撃。OZAWAへの思いを明かした。
方舟シップの最高峰を抱く33歳は、元日決戦を見据えた。
「プロレスリング・ノアのニューイヤーショー、そして、ミーにとってカンバック後、初のスーパービッグショー…楽しみですし、チャンプとしてプロレスリング・ノアのプロレス、強さをオーディエンスに見せたいですね」
稲村愛輝としてデビューし拳王率いる「金剛」へ加入。英国での武者修行では「YOICHI」を名乗り、昨夏に凱旋帰国するも結果を残せず渡米した。紆余(うよ)曲折のデビューからの7年。自らの力でつかんだ武道館のメイン。胸に去来するのは、感傷よりも王者としての責任感だった。
「GHCのベルトを持って武道館のリングに立てるレスラーは、歴史を振り返ってもそんなにはいません。これは、ワンステップ、ワンステップの積み重ねがないとここまでたどり着かないと思っています。そういう意味で、この7年間の歩みをオーディエンスには見せたい思いはあります。ただ、それ以上に方舟シップのメインイベントを務めるレスラーとして武道館にお客さんを呼ばなければならないと感じています」
対戦するOZAWAは、プロレスリング・ノアの後輩であり、2022年9月15日の後楽園ホールでのデビュー戦の相手を務めた。入門から共に練習し、合宿所で生活。さらに英国での武者修行でも生活を同じくした。公私にわたり面倒を見てきた後輩は、昨年秋の凱旋帰国後に黒のユニット「T2000X」へ電撃加入し悪の道に没入。今年の元日には清宮海斗を倒しGHC王座を初奪取し「OZAWAショック」を起こした。
「後輩であるミスターOZAWAがバッドガイになってしまったのは先輩としての責任を感じています。でも、ミーは彼がまだピュアなハートを持っているとトラストしているので、ミスターOZAWAをエデュケートする試合にします」
OZAWAの本性を明かす。
「ミーの考えは、プロレスリングを愛するガイです」
理由を尋ねるとこう答えた。
「ビコーズ…ヤツはヤングボーイの時代から道場でトレーニングをしっかりしていたんです。ミーは、合同練習以外でも昼、夜と道場でトレーニングをしていたんですが、ミスターOZAWAと会う機会がかなり多かったんですね。その時に彼は、自分のストロングポイントであるジムナスティック(体操)をプロレスに生かし、伸ばそうとするトレーニングに取り組んでいました。イギリスでも有名なジムナスティックのジムを自分で契約して通っていました。ストロングポイントをリング上で出そうとトレーニングを続けられるのは、プロレスへの愛がないとできないと思います。ミスターOZAWAからは、プロレスへの愛とプロレスラーとして生きる覚悟を感じています」
さらに、OZAWA(当時は小澤大嗣)のデビュー戦で対戦し、才能を感じた。
「デビュー戦で彼のタレントを実感しましたし、トップに行くと思っていました。しかも、バックステージで『トップになってやる!』ってミスターOZAWAは言ったんです。それまで彼からそんな言葉を聞いたことはなかったんです。ミーは、それを聞いてアンビションがある選手だと思った。この世界は、それぐらい気の強い男じゃないとサバイブできませんから」
デビュー戦から3年あまり。あの時の2人が武道館で激突する。Inamuraには、一抹の不安がある。
「今年のニューイヤーショーでミスターOZAWAがミスター清宮(海斗)を倒してGHCを奪取しましたよね。OZAWAショックと言われましたが、ミーにとってそれ以上にショックだったのがミスター清宮へのブーイングでした。オーディエンスがブーイングした理由は、方舟シップのユニバースのフラストレーションなのか?何かはわからないんです。ミーは、みんなにハッピーになってもらいたいとファイトしてオーディエンスの応援が糧になっているんです。だけど、オーディエンスのハートがブラックに染まってブーイングが起きると、今まで通りミーにとってのホームの環境でファイトできるかが不安ではあります。でもプロレスには、そんな状況はいくらでもあるし、覚悟を決めていきますが、そこがミーは、予想できない」(取材・執筆 福留 崇広)