<棚橋弘至を愛してま~す 引退連載 2>いよいよ新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム …

<棚橋弘至を愛してま~す 引退連載 2>

いよいよ新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」(26年1月4日、東京ドーム)の開催が迫ってきた。プロレス界をけん引してきた“エース”棚橋弘至(49)はどのようにその日を迎えるのか。本人や関係者の証言をもとに、棚橋というプロレスラーの生きざまを振り返る。

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来年1・4で引退する棚橋に「すぐに思い浮かぶ思い出は?」と聞くと「猪木問答ですかね」という答えが返ってきた。「猪木問答」とは02年2月の札幌大会で繰り広げられた、“事実上のトップ”アントニオ猪木氏と所属選手たちによる伝説的なマイクでの対話だ。

棚橋は「(猪木氏が)『お前は何に怒っている?』って。正解がないんですよ。中西(学)さんが言われて、永田(裕志)さんも言われて、(鈴木)健三さんも。で、これは『何に怒ってる?』っていう質問に答えたら負けだなって思って」と振り返った。

そして「だから『僕は新日本プロレスでプロレスをします』って言って、答えを返さなかったんです。そこには総合(格闘技)と混ぜ合わせようとする猪木さんへの反発があって、もちろん皮肉は込めたんですけど」とその時の心境を説明した。

当時の新日本は猪木氏が提唱する「格闘技路線(ストロングスタイルと総合格闘技の融合)」が強く推進されており、プロレスを愛する棚橋にとって、それは簡単には受け入れられないものだったようだ。

そんな棚橋だが、新日本の代名詞「ストロングスタイル」の呪縛にも苦しんだことがある。長髪で派手なコスチューム…“チャラい”外見で活躍する姿が「ストロングスタイルらしくない」というファンからの批判につながった。

棚橋をそこから解き放ったのも実は猪木氏だった。「『何だよストロングスタイルって?』って思ってた時に『ストロングスタイルって何ですか?』って猪木さんに聞いたんですよ。そしたら『知らねえよ』って(笑い)。だから、あれは猪木さんが言い始めたものではなくて、周りが勝手に作り上げた言葉で。そこで僕の肩の荷がスッと下りたんです」。そして棚橋は「僕は新日本プロレスの漠然としたイメージにとらわれなかったから、新しい新日本プロレスを生み出せたんじゃないかな」と胸を張った。【千葉修宏】