最強のふたり〜東大ラグビー再生物語(全6回/第6回) 2025年の対抗戦Bグループ、東大は3勝4敗で昨年と同じく4位とな…
最強のふたり〜東大ラグビー再生物語(全6回/第6回)
2025年の対抗戦Bグループ、東大は3勝4敗で昨年と同じく4位となった。東大に勝った成城大は一橋大に敗れ、東大は一橋大を下した。この3校がいずれも3勝4敗で並んだものの、一橋大に5トライ差で勝ったボーナスポイントの1点がモノを言って東大が4位に滑り込んだ。

「東大レッグドライブ」の完成に情熱を燃やす中垣征一郎氏(写真左)とヘッドコーチの高橋一聡氏
photo by Sportiva
【東大が上がるべき次の段階】
入れ替え戦に出場したのは、Bグループ1位の武蔵大と2位の明治学院大。明学大はAグループ7位の青山学院大、武蔵大は8位の立教大に挑んだものの、いずれも敗退し、Aグループ昇格はならなかった。
今シーズンから東大ラグビー部でコーチを務めている、オリックス・バファローズの前巡回コーチ、中垣征一郎は、この1年の進化をこう話した。
「最大値でプレーしている時は、Bグループのどんな相手とも十分な勝負ができるようになってきたと思います。でも、強いチームは最大値でプレーしながらも余計なことをやらないぶん、後半に体力を残しているんです。しかも敵がバテてきたところを、一気につけ込むだけのラグビーのうまさも持っている。
10回やって1回も勝てないであろう相手は、東大にはまだたくさんあります。これを、10回やって1回は必ず勝てる、あるいは2回勝てるかもしれないところへ持っていくには、ラグビーのステージを上げなきゃいけない。そのひとつが『東大レッグドライブ』をさらに向上させていくことです。体力があって元気な時間帯なら『東大レッグドライブ』はかなりよくなっています。
でも焦ったり、バテてくると力んで余計な動作が入ったり、動作自体が変わったり、ミスが出る。これを最後まで持続させるために必要なのは、単純に筋力を上げること、持久力を上げることのほかに、効率的に力を使い続ける動き方をフィールドにいる15人が、80分間、常にやり続けるという意思統一をしなくちゃなりません。できるようになっても、それが80分間、続かないなら次のステップには進めません。京大戦は、今のステージを再確認するバロメーターになると思っています」
【対抗戦終盤に見えた確かな前進】
10月以降の東大は一橋大、学習院大をイメージどおりのラグビーで撃破し、上位3校との対戦を迎えた。成蹊大には大敗したものの、明学大、武蔵大には東大なりに食い下がった。その点はヘッドコーチの高橋一聡も評価する。
「フィジカルは中垣さんに入ってもらって、2月から基礎的なところをずっとやってきた成果が確実に出ています。『現場』を疎かにしないことで、ブレイクダウンで勝負できるようになってきた。ただ、ファーストフェーズで前へ行けても、セカンドフェーズでミスが出るんです。ここにきてようやくミスが減ってきているので、今度は精度を上げるところへ入っていけます。
技術については、新しいことをやっています。たとえばパスをもらってドーンと当たる、パスをもらってボールをちょっと移動させてからドーンと当たる、パスをもらってちょっと動いてから反対に戻してドーンと当たる。この当たり方は、技術とタイミングによって数を増やせるんです。3つ動かせたらAグループです。今、ふたつまでなら、あやふやながらも成功率が上がっている。この精度を上げることで、最後の戦いに向かっていこうと思っています」
【対抗戦の先にある最後の大一番】
最後の戦い──対抗戦を終えてもなお残された戦いというのは、京大との定期戦である。昨年は京都の宇治グラウンドで行なわれ、東大が12−76で大敗を喫した。
100年を超える歴史を持つ東大と京大の定期戦は、スイカジャージを身に纏う"タックルの東大"と獅子を胸に描いた濃紺ジャージの"展開の京大"がぶつかって、過去、幾多の名勝負を繰り広げてきた。それが今年は"レッグドライブの東大"として雪辱を期すことになる。一聡は今シーズン最後の戦いを前に、こう話した。
「今の東大にとっては、1年を通して全部の試合が大事なんです。全部がチャレンジですし、絶対に勝てる相手はひとつもない。春の試合も、夏の試合も、秋の対抗戦も、すべて大事。それでもひとつ選べと言われたら、冬の京大戦になりますね。
去年、ボロ負けしていますし、やっぱり東大は京大には勝たなきゃいけない。京大のラグビー部は旧帝国大学として慶應の次にスタートしているので、歴史がムチャクチャ古いんです。そういう意味からも、本来なら京大と東大が日本のラグビーを引っ張っていく立場にあってもおかしくないと僕は思っています。
だからこそ、京大と東大のレベルが上がることはすごく重要で、お互いがBでくすぶっている現状が歯痒くて仕方がない。100回を超える歴史がある京大との定期戦は重みがありますし、今年はホーム(東大グラウンド)での試合ですから、AチームとBチーム、どちらも勝たなくちゃならない。今シーズンの集大成としてどんなラグビーを見せられるか、楽しみにしといてください」
今年の東大、京大の定期戦は東大の駒場グラウンドで12月28日に行なわれる。Aチームの試合は12時半、Bチームの試合は14時半にキックオフ──高橋一聡と中垣征一郎がタッグを組んで選手たちに託した『東大レッグドライブ』は、伝統の一戦で炸裂するのだろうか。
おわり