井上が手強い挑戦者を退けた(C)Getty Images 前人未踏の領域を歩む“モンスター”が、またも金字塔を打ち立てた…

井上が手強い挑戦者を退けた(C)Getty Images

 前人未踏の領域を歩む“モンスター”が、またも金字塔を打ち立てた。

 現地時間12月27日、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が、サウジアラビアのリヤドで開催された「NIGHT OF THE SAMURAI」で、WBC世界同級2位アラン・ピカソ(メキシコ)に判定勝ち。果敢な挑戦者を退け、戦績を無傷の32戦32勝(27KO)とした。

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 これで年間4度の防衛、世界戦はついに27連勝に到達した。統一王者として年間4度の防衛を成し遂げたのは、1976年のWBA・WBC世界ヘビー級王者ムハマド・アリ以来49年ぶりの快挙。世界戦27連勝は、元5階級制覇王者フロイド・メイウェザーらを上回る、歴代単独トップの新記録だ。

 試合前にはバンテージの巻き直しを命じられるハプニングもあったが、井上はまったく動揺を見せることなくリングに上がった。

 ガードを固める相手との距離をしっかりと測り、積極的にジャブを伸ばしていくチャンピオン。2回序盤には一気にパンチをまとめてプレッシャーをかけ、鋭い右のオーバーハンド、強烈な左ボディでピカソの戦意を削ぎに行く。前回のムロジョン・アフマダリエフ戦とは異なり、足を止めて強打を見舞っていく姿からは、KOを狙う強い意志が感じられた。

 しかし、挑戦者も強かった。強打の井上を相手にひるまず立ち向かい、一度のダウンもないまま決着は判定へ。最終的にいずれのジャッジも井上を支持し、3-0でモンスターに軍配が上がった。ピカソの闘志や技術は目を見張るものがあったが、井上の総合力がそれを上回った。

 2025年は激闘続きの一年となったが、井上は4戦全勝。トップファイターとしては異例とも言える年間4試合を、完璧な形で締めくくった。

 今後は戦前に言及した「5階級制覇」を目指すのか、それとも中谷潤人との日本人対決を選ぶのか。いずれの道を進むにせよ、モンスターはまた新たな衝撃をファンに届けてくれるだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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