<第74回全日本大学サッカー選手権:国士舘大0-3筑波大>◇27日◇決勝◇栃木県グリーンスタジアム筑波大(関東1)が国士…
<第74回全日本大学サッカー選手権:国士舘大0-3筑波大>◇27日◇決勝◇栃木県グリーンスタジアム
筑波大(関東1)が国士舘大(関東2)を3-0で破り、8大会ぶり10度目の優勝を飾った。
就任3年目の中西哲生テクニカルアドバイザー(TA=56)は歓喜の涙を流した。
大学日本一を成し遂げたメンバーやスタッフに次々と抱きつかれた。思わず涙があふれた。「今年の優勝は感慨深いですね。本当によかった」。そう言って少しだけ安堵(あんど)したような表情を浮かべた。
独自のメソッドを筑波大蹴球部に注入して3季目。全体練習後に「中西流」の教えを学びに門下生たちが集う。シュート練習などの自主練に取り組み、個々の成長を促した。
相手の状況を見て、判断を変える「キャンセル」の概念などを植え付けて、組織としても向上。チーム全体にも大きな影響を与えた。チームの指揮を執る戸田伊吹コーチからも随時助言を求められ、「こうしたらどうか」とアドバイスした。
今季は横浜F・マリノスDF諏訪間幸成、デンマーク1部ブレンビーFW内野航太郎ら4人の主軸がプロに挑戦するためにチームから離脱した。リーグ戦の前期こそ苦しんだが、他の選手たちが奮起して後期に逆転優勝。中西TAは「一緒に練習した選手たちが本当に活躍してくれた」とうなずいた。9月ごろからチームに手応えを感じていたといい「最終局面の再現性が高く、引いた相手も崩せるようになったらいけるなと」。チームとしての完成度が増し、プロの即戦力級の強烈な個に頼らずとも勝ちきれる組織に進化した。
高校時代から親交のあるMF徳永涼(前橋育英)を筆頭に、DF小川遼也(富山U-18)、DF池谷銀姿郎(横浜FC・Y)、FW小林俊瑛(大津)ら就任1年目から見続ける3年生が軸としてチームをけん引。その他にも高い意識で地道に取り組んできた面々がピッチ上で躍動する姿に、中西TAは感極まった。
各地での指導に加え、講演活動、メディア出演など多忙だが、筑波大には可能な限り足を運ぶ。「ここに受け入れてくれて、やらせてもらえる小井土(正亮)監督の器の広さに感謝です」。45年ぶりのリーグ、インカレ2冠達成の裏には、中西TAの独自メソッドと情熱があった。【佐藤成】