<プロボクシング:IBF世界フライ級王座統一12回戦>◇27日◇愛知国際展示場◇観衆2800人IBF世界フライ級王者の矢…

<プロボクシング:IBF世界フライ級王座統一12回戦>◇27日◇愛知国際展示場◇観衆2800人

IBF世界フライ級王者の矢吹正道(33=緑)が、同級1位で元IBF世界ライトフライ級王者のフェリックス・アルバラード(36=ニカラグア)と対戦。12回1分59秒、KO勝ちを収め、初防衛に成功した。

3月にIBF世界ライトフライ級王座を保持したまま、IBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(メキシコ)に挑戦し、12回TKO勝ち。日本人初の2階級同時制覇王者となった矢吹は、同4月にライトフライ級王座を返上し、フライ級への正式転向した。「1年前はよくライトフライでやっていたなっていうぐらいきつかった」と振り返るように、階級アップにより減量苦が軽減されたことで、良い状態で試合に臨むことができた。約9カ月ぶりの試合となったこの日は序盤から軽快な動きで、アルバラードを上回った。

距離を詰めてくる好戦的なアルバラード対策として、IBF世界ライトフライ級王者のタノンサック・シムシー(25=グリーンツダ/タイ)をスパーリングパートナーとして招いた。「スピードがある選手だし、現役の世界チャンピオン。アグレッシブで嫌なイメージもあった」と、あえて苦手とした選手を呼び、5日間で26ラウンドを重ねた。その成果もあり、46戦42勝(35KO)と実績あるアルバラードとの試合を「間違いなく打ち合いになると思うし、苦戦すると思う」とイメージした試合で、確かな力を見せつけた。

次の目標は、中谷潤人(27=M・T)以来となる日本人8人目の3階級制覇となる。前日会見で「これに勝てば上(の階級)もありなのかなと思っている」と、スーパーフライ級への転向を示唆。この試合に勝ったことで、3階級制覇王者の野望も現実的なものとなった。

各ラウンドVTRと記者採点は次の通り

【1回】

矢吹は左ジャブ、右ストレートでアルバラードを攻撃する。アルバラードは接近戦を狙って前身。左右フック、アッパーで飛び込んでいく。矢吹は足を使いつつ、相手の踏み込みに合わせて右の打ち下ろしをヒットさせた。矢吹10ー9アルバラード

【2回】

アルバラードはどんどん前にでる。矢吹は右の打ち下ろし、左フック、右アッパーなどを相手のガードの隙間に打ち込み、足を使って距離をとる。アルバラードは接近戦でボディー攻撃を狙うが、なかなか連打につながらない。矢吹10ー9アルバラード

【3回】

両者がコーナーで激しく打ち合う。アルバラードはワイルドなパンチを振り、矢吹はコンパクトなパンチで応戦。正確でシャープな矢吹のパンチが相手の顔面をとらえる。矢吹の左ジャブは機能。アルバラードのパンチはミスが多くなった。矢吹10-9アルバラード

【4回】

アルバラードは前進を続ける。左フックを下→上と打ち分けて、ボディーを攻めていく。矢吹は手数が減るが、要所で左ジャブをついた。アルバラードはミスブローも気にせず、パンチを繰り出した。アルバラード10ー9矢吹

【5回】

アルバラードは左ボディーフックを軸に、距離を詰める。頭がぶつかる距離でアッパー、フックを連打する。矢吹はロープ、コーナーを背負う場面が増えた。終盤に左アッパーを効果的に当てたが、手数でアルバラードに上回られた。アルバラード10-9矢吹

【6回】

矢吹は左ジャブをついて、主導権を握る。アルバラードは矢吹のジャブに阻まれて、前進がとまる。矢吹は左フックのカウンター、打ち下ろしの右と攻勢をとる。アルバラードは前進がとまり、中間距離をパンチを浴びた。矢吹10ー9アルバラード

【7回】

矢吹は左ジャブを軸に攻撃を組み立てる。アルバラードは左ジャブを浴びて、顔が上がる場面があった。矢吹は接近戦で左右アッパーを突き上げた。終盤には左ボディーフックを効かせて連打をみせた。矢吹10-9アルバラード

【8回】

矢吹は左ボディーフック、左アッパーも複数ヒット。アルバラードは必死で前に出て大きな左右フックを矢吹のガードの上にたたきつけた。矢吹はカウンターの左フック、左アッパーをヒット。左ジャブを有効につかった。矢吹10ー9アルバラード

【9回】

アルバラードは前進を続けて、フック、アッパーを連打していく。矢吹は相手のパンチに合わせてカウンターをヒットさせた。アルバラードは体ごと前にでて、パンチを被弾しても距離を詰め続けた。アルバラード10ー9矢吹

【10回】

矢吹は再び左ジャブをついて、相手を突き放す。中間距離から飛び込むような左フックもヒットさせた。アルバラードは、矢吹の有効打によって、右目横から出血した。矢吹10ー9アルバラード

【11回】

矢吹は左ジャブをついて軽快に動く。左フック、右フックをヒット。アルバラードは接近を試みるが、パンチが出せず、突き放された。終盤に打ち合いの中で、矢吹の左フックがカウンターでヒット。アルバラードはダウンしたが、立ち上がり、ゴングに救われた。矢吹10-8アルバラード

【12回】

矢吹はダメージが残る相手にパンチを集める。アルバラードは最後の力を振り絞って前に出るが、パンチに力がない。矢吹はワンツーから左ボディーアッパーをヒット。ロープづたいにエスケープしたアルバラードを追って、左ジャブ2発から、強烈な右ストレートをヒット。アルバラードは2度目のダウン。何とか立ち上がったが、レフェリーが試合を止めた。

◆矢吹正道(やぶき・まさみち)1992年(平4)7月9日、三重・鈴鹿市生まれ。本名・佐藤正道。“あしたのジョー”の主人公・矢吹丈からリングネームをもらう。16年3月に1回TKO勝ちでプロデビューし、20年7月に日本ライトフライ級王座を獲得。21年9月に寺地拳四朗との一戦でWBC世界ライトフライ級王座獲得も、22年3月の再戦に敗れる。24年10月にIBF同級王座を獲得し、25年3月には日本人選手で初めてIBF世界ライトフライ級とフライ級の同時2階級制覇。4月にライトフライ級王座を返上。正式にフライ級に転向した。身長166センチの右ボクサーファイター。恭子夫人と1女1男。