<第74回全日本大学サッカー選手権:国士舘大0-3筑波大>◇27日◇決勝◇栃木県グリーンスタジアム筑波大(関東1)が国士…
<第74回全日本大学サッカー選手権:国士舘大0-3筑波大>◇27日◇決勝◇栃木県グリーンスタジアム
筑波大(関東1)が国士舘大(関東2)を3-0で破り、8大会ぶり10度目の優勝を飾った。
「ご学友世代」が躍動した。秋篠宮家の長男悠仁さまと同じ1年生のMF大谷湊斗(昌平)が2得点、FW山下景司(大津)が1得点、MF矢田龍之介(清水Y)が1アシストと結果を残してチームを勝利に導いた。
最優秀選手(MVP)に輝いた大谷は「後半チャンスが来ると思っていた。決め切れて良かった」と素直に喜んだ。「インカレのMVPがあること自体もしらなくて、2点目決めた後に喜びに行ったときにベンチ外のメンバーから『お前MVPだぞ』といわれて、試合中は何のことかよく分からなかった。4年生もいるなかで自分を選んでいただいたのは誇らしいし、うれしい」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
清水エスパルスの下部組織からトップ昇格を断って筑波大入りした矢田は、リーグ戦で開幕スタメンを飾ると、ベストイレブンを獲得するなどシーズン通して活躍した。「本当に濃くて激動のシーズンでした。関東リーグ優勝とインカレ優勝は自分でも想像できなかったくらいでした」と充実の表情で振り返った。
サッカー人生で日本一は初だという。「当初はフィジカルレベルの差を感じましたけど、どんどんできるようになったし、セカンドボールの回収とか課題の部分は成長できました」。基本ベースを上げて、その上で武器を発揮するレベルに達する必要があると考えて大学進学を決断。「こんなに選手、スタッフがそろっていて素晴らしい環境はないと思います」と初年度から結果を出して自らの選択を正解にした。
同世代は、3人以外にも9~10月のU-20ワールドカップ(W杯)チリ大会に出場したDF布施克真(日大藤沢)が右サイドバックでフル出場。ベンチ入りした五嶋夏生(大津)ら有望株がそろう。
筑波大の小井土正亮監督は、選手が4年時にプロからオファーを受けた場合、快く背中を押すスタンスを取っている。学業や生活態度、部への貢献などがしっかりしていて仲間から認められることが大前提としながら、「メリットしかない」と歓迎。実際に今年の4年は横浜DF諏訪間幸成ら3人が蹴球部を退部してプロの世界に足を踏み入れ、元U-22日本代表FW内野航太郎にいたっては、3年ながらデンマーク1部ブレンビーに移籍した。
主軸4人が抜けたことは大きな痛手だったが、小井土監督は「早く上級生が抜けたことで、今日得点したのは1年生2人。早いサイクルで選手が試合に出る可能性があって、強化、成長のためにはこういうサイクルもいいのではないか」と前向きに捉える。
プロに挑戦しやすい土壌が整っていれば、Jリーグで即戦力ではない高校年代のトップクラスが筑波大を目指すのは必然だ。組織としての強さもありつつ、個の成長も期待できる。「黄金世代」の1年生のうち、何人が4年まで筑波大でサッカーを続けるかは不明だが、同部の中で好循環が生まれていることは間違いない。【佐藤成】