ワールドシリーズ連覇まで駆け上がったポストシーズンは、クローザーとして奔走した佐々木(C)Getty Images 来る…

ワールドシリーズ連覇まで駆け上がったポストシーズンは、クローザーとして奔走した佐々木(C)Getty Images

 来る2026年シーズンは、佐々木朗希(ドジャース)にとって“雪辱”を果たす1年となる。

 25年1月に鳴り物入りでドジャース入団を決めた「令和の怪物」だったが、大規模な争奪戦も繰り広げられた男の評価は春先から急激に下落。「右肩のインピンジメント症候群」が発覚した影響もあって、自身の生命線であった4シームは平均94.3マイル(約151.7キロ)にまで球速が落ち、開幕から試行錯誤の日々が続いた。

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 デーブ・ロバーツ監督からも「投手としてより成功するにはどうすればいいのかを考える必要がある」と実力不足を諭され、肩の故障が癒えた夏場にマイナーで研鑽を積んだ佐々木は、球団のピッチング・ディレクターを務めるロブ・ヒル氏とともに投球フォームはもちろん、身体の使い方も微調整。徹底的に課題を炙り出し、球速も平均100マイル(160.9キロ)を超えるまでに改善。レギュラーシーズン終盤の9月にメジャー再昇格を果たし、迎えたポストシーズンはチームの事情もあってクローザーに抜擢され、面目躍如の活躍を見せた。

 確かな存在価値を示した佐々木だが、やはり彼に求められるのは、先発投手としての大成だ。今オフにFAになっていた大物守護神エドウィン・ディアスと3年総額6900万ドル(約107億円)の契約を結んだドジャースも、先発ローテに戻る価値を24歳に求めているのは、間違いない。

 課題となるのは、投球の基本となる球種の改善だ。というのも、佐々木がメジャーに来てから主に使用してきたのは、4シームとスプリットの2つ。リリーバーであるなら2球種だけである程度の勝負ができるが、先発では相手打者を惑わせるために、さらなる武器の習得は必須だろう。

 実際、球種改善は米メディアでもしきりに論じられている。日夜ドジャースの情報を発信し続けている『Dodgers Nation』は、クローザーに抜擢されてからの佐々木を「衝撃的でありながら、非常に強力でもあった」と称賛。その上で「健康面の回復と、下半身をより活用させるために導入したフォームの調整が、速球の球威を取り戻させ、ストライクゾーンで打ち砕かれることを防ぐ鍵となった」と指摘し、投球リズムが安定したことで、新球種の会得も可能になるという見解を示した。

「4シームとスプリットの球速が求められたアベレージに近いのであれば、大きな問題は生まれないはずだ。例えば、カッターのような新球種が実用的な球種にならなかったとしても、ササキをより効果的な投手にさせるポイントの一つとなるだろう」

 おそらく今後も4シームとスプリットに重きを置いた投球が佐々木の基盤となる。その2球種をより効果的なボールへと昇華させる意味でも今オフにどれだけ他球種に磨きをかけられるかは、先発としての「復活」を推し量る要素の一つとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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