陸上の早大競技会が27日、埼玉・所沢市の早大所沢キャンパス織田幹雄記念陸上競技場で行われ、第102回箱根駅伝(来年1月…

 陸上の早大競技会が27日、埼玉・所沢市の早大所沢キャンパス織田幹雄記念陸上競技場で行われ、第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)の登録メンバー16人から外れた各校の選手が力走した。

 箱根駅伝直前の年末。各校で行われる登録外メンバーによる記録会は、登録メンバーに勢いを与えるという意味で「箱根駅伝0区」と呼ばれる。早大では伝統的にチームトップを取った選手が「漢(おとこ)」と、たたえられる。

 男子1万メートルは、城西大の橋本健市(2年)が28分50秒21で全体トップを取った。

 「うおーっ!」。橋本は残り100メートルで叫びながらラストスパートして、中大の田中伶央(2年)に0秒1競り勝った。まさに魂の叫びと力走を見せ「箱根駅伝を走る選手に勢いをつけられたと思います!」と充実した笑顔を見せた。

 橋本は5月の関東学生対校選手権1部3000メートル障害で6位入賞したスピードランナー。今季、夏に故障したたため、駅伝メンバー争いに絡むことは出来なかったが、初の1万メートルレースで、いきなり28分台をマークし、高い能力を示した。櫛部静二監督(54)は「来季は主力になってほしい。勝負強いので往路でも戦える選手です」と期待を込めて話した。

 福島・帝京安積高出身。駒大の主力選手の谷中晴(2年)は同級生でチームメートだった。「谷中は高校の頃から別格で強かったです。でも、来季は負けたくありません。僕が谷中と同じ主要区間を走れる力をつけて勝負したいです」と橋本は意欲たっぷりに話した。

 城西大は普段はマネジャー業務で忙しい矢野凜誠主務(3年)も5000メートルに出場し、15分54秒47の自己ベスト記録をマークした。「少しでも選手の勢いにつながってくれればうれしいです」と笑顔で話した。櫛部監督は「きょうの競技会は楽しいですね。箱根駅伝に向けてチームの雰囲気は良くなりました」と、晴れ晴れとした表情で話した。

 5000メートルは国学院大の田中愛睦(3年)が14分14秒08で全体トップ。さらにレース後、他の選手がゆっくり走り、クールダウンする中、速いペースで走り込みを行った。1年時に箱根駅伝7区を区間7位と健闘したが、2年時、3年時は登録メンバーに入れなかった田中について、前田康弘監督(47)は「並の選手なら気持ちが落ちてしまうところ、田中は常に前向きです。次の箱根駅伝には3年ぶりに出場して好走を期待しています。1年時と4年時だけ箱根駅伝を走る選手は珍しいですが、田中ならやれます」と大きな信頼を寄せる。

 中大の山崎草太副主務(3年)は5000メートル第1組で14分40秒60で組トップと大健闘した。1年時に箱根駅伝5区で区間14位の競技実績を持つ。今は副主務としてチームを支えている。

 第102回箱根駅伝まで、あと6日。登録メンバーに入っていないランナーたちの魂の力走によって、熱戦のムードは、さらに高まってきた。