今週の日曜日は、中山競馬場で有馬記念(GI・芝2500m)が行われます。 過去10年の有馬記念ではヘイルトゥリーズン…

 今週の日曜日は、中山競馬場で有馬記念(GI・芝2500m)が行われます。

 過去10年の有馬記念ではヘイルトゥリーズン系を父に持つ馬が8勝2着7回3着8回となっています。ヘイルトゥリーズン系はサンデーサイレンス系とロベルト系が属しています。サンデーサイレンス系は日本の主流血統ですが、有馬記念では意外にもロベルト系の方が活躍する傾向にあります。

 過去10年の有馬記念では父ロベルト系は、13頭が出走し2勝2着1回3着3回で複勝率は46.2%。回収率は単勝が146%、複勝が107%と高い期待値を示しています。一方、父サンデーサイレンス系は90頭が出走し、6勝2着6回3着5回ですが複勝率は18.9%。回収率も単勝32%、複勝56%と低調な数値ですし、期待値を重視するならばヘイルトゥリーズン系の中でもロベルト系に注目するのがよさそうです。

 さらに父ミスプロ系も苦戦しているのは覚えておきたいところです。ミスプロ系はキングカメハメハ系が属する系統で、サンデーサイレンス系とともに日本の主流血統と言えます。しかし、有馬記念ではミスプロ系、サンデーサイレンス系ともに不振。有馬記念という舞台では、日本の主流血統の良さが発揮しにくいと言えるかもしれません。

 今年の有馬記念でも、父サンデーサイレンス系や父ミスプロ系の取り扱いには十分に注意し予想は組み立てていきたいところです。

 ここでは、上位人気が予想される馬の死角となりそうなデータをひとつ紹介します。

【条件】
父ミスプロ系(ただし、芝2400m以上のGIで4着以内の実績がある馬は除く)
[0-0-0-17]複勝率0%
該当馬:アラタ、ミュージアムマイル

※特に言及のない限り、データは過去10年間を対象にしています。

 上位人気が予想されるミュージアムマイルが該当しました。

 過去10年の有馬記念で、父ミスプロ系は39頭が出走し2着3回3着1回。馬券に絡んだのは23年スターズオンアースとタイトルホルダー、19年サートゥルナーリア、18年レイデオロ。この4頭には芝2400m以上のGIで4着以内に入った実績があった馬。ハイレベルなメンバーが相手になるGIでの結果ですので、能力だけでなく長い距離への適性も十分に示している馬とも言えます。

 該当馬に挙げたミュージアムマイルの父はミスプロ系のリオンディーズ。そして、芝2400m以上のGIで4着以内に入った実績はありません。過去の傾向を重視すると、ミュージアムマイルに大きな期待を寄せるのは危険かもしれません。

 ミュージアムマイルが芝2400m以上のGIに出走したのは、今年の日本ダービーのみ。レースでは中団を追走し直線へ。残り400mあたりで前にいたマスカレードボールに並びかけましたが、そこからの伸びが今ひとつ。残り300mを切ったところではマスカレードボールに突き放されていましたし、最終的には後ろにいたエリキングにも差されてしまう内容。最後は明らかに脚色が鈍ったように見えましたし、距離への不安を感じさせる走りでした。

 今回は日本ダービーよりも距離は延びるのはプラスとは言えません。さらに、今年の有馬記念はメイショウタバル、ミステリーウェイと逃げて結果を残している馬も参戦。テンからタフなペースになれば本質的なスタミナが問われます。これまでの戦績からスタミナ面に不安を感じる本馬にとっては、展開面も厳しくなりそうです。

 この中間の報道で、陣営も距離に関して絶対的な自信は持っていない様子。今年の皐月賞で優勝し、前走の天皇賞(秋)でも2着と能力だけならばここに入っても十分に通用するはずですが、今回の条件ではその力を発揮できない可能性は考えておく必要がありそうです。距離を克服できずに取りこぼすことも考えられますし、人気でも全幅の信頼は置かない方が賢明かもしれません。

 重賞レースの参考に、是非お役立てください。