“史上最強の新弟子”の看板に偽りはなかった。第63代横綱からしこ名を受け継ぎ、11月の九州場所の前相撲で初土俵を踏んだ、…

“史上最強の新弟子”の看板に偽りはなかった。第63代横綱からしこ名を受け継ぎ、11月の九州場所の前相撲で初土俵を踏んだ、モンゴル出身で本名バトツェツェゲ・オチルサイハンの序ノ口旭富士(23=伊勢ケ浜)が、関取衆の申し合いで、抜群の存在感を発揮した。初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)に向けて27日、都内の部屋で稽古を公開。旭富士は、関取衆の申し合いに参加し、計24番で16勝8敗だった。いずれも前頭の義ノ富士、伯乃富士、熱海富士、翠富士の4人を相手に、番数も勝ち数も勝率も、最上位だった。

1度は幕下の申し合いに加わろうとしたが、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)に「はえーよ」と止められた。満を持して幕内の申し合いに参加すると、いきなり3連勝。熱海富士を左からの上手出し投げ、翠富士を押し出し、再び熱海富士を突き出しで仕留めた。185センチ、150キロの均整の取れた筋肉質な体は、パワーとスピードを兼ね備えていた。1度は伯乃富士に寄り切られたが、熱海富士に指名されて再び土俵に戻ると、そこから連続10番取り、その間7勝3敗と、スタミナも抜群の印象も残した。

旭富士に続くのが13勝8敗の義ノ富士だった。申し合いの中心が序ノ口力士となり、他の関取衆としては、いいようにやられたようにも映るが、実力は部屋の誰もが認めるところ。外国出身力士は1部屋1人までという規定で、現師匠が今年初場所まで現役だったため、新弟子検査受検までに4年半を要し、その間にめきめきと実力をつけていた。それでも番付は序ノ口で、まだ一人前ではないとの部屋の方針で、取材対応はなかった。