大相撲の幕内経験者で人気力士、東幕下11枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜)が、改名しなかったのは「親方の心遣い」と、師匠の伊勢…

大相撲の幕内経験者で人気力士、東幕下11枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜)が、改名しなかったのは「親方の心遣い」と、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)に感謝した。27日、都内の部屋で稽古を公開後に報道陣に対応。初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された23日に、伊勢ケ浜部屋の力士9人が、一斉に改名したと発表されたが、炎鵬は変わらなかった。番付発表後、初めて取材に応じ、そのことについて「大相撲に入ってから、このしこ名で自分が存在している。(改名しなかったのは)親方の心遣いで、してくださったことだと思います」と語った。

初場所の番付発表に合わせて改名した9人は、いずれも「○○富士」という「富士」が付くしこ名に改名した。そのうち8人は、旧宮城野部屋からの転籍組。元前頭北青鵬の暴力問題で、旧宮城野部屋が事実上、閉鎖となり、所属力士は全員、伊勢ケ浜部屋に転籍した。8人のうち師匠だった元横綱白鵬翔さんの「鵬」の字がしこ名に付いていた力士は4人。そんな中、伊勢ケ浜部屋でしこ名に「鵬」が残るのは、炎鵬1人となっていた。

師匠から改名の打診などはなかったといい「そこは本当に、親方の心遣いだと思います」と繰り返した。多くのファンから親しまれた、ベテラン技巧派のしこ名だけに、大切にした方がいいという親心と受け止めていた。それだけに炎鵬は「しこ名に恥じないよう、誇りを持って、自分の名前を大切にしていきたいなと思います」と、かみしめて話した。唯一、白鵬さんの「鵬」を受け継いだ形だが「それは胸の中に秘めて、やっていきたいなと」と、多くは語らなかった。

首の大けがで7場所連続休場し、関取から序ノ口まで番付を下げたが、じりじりと戻して関取復帰が見える地位で26年を迎える。ご飯を1日5合食べるなどして、体重は自身初の110キロ到達も目前だという。体重増の要因を問われると「要因は…。努力です(笑い)。食べる努力もしてきた。去年の夏ごろは90キロ台だったので。鏡を見た時に、ちょっと自信がついたかも」と、胸を張って答えた。

「(幕下)11枚目ということは、関取も見えるところ。必ず自分の力で、そこ(関取昇進)をこじ開けたいし、つかみ取りたい」。変わらないしこ名、変わらない相撲への情熱で、再び関取の座に就く日を追いかけていく。【高田文太】