■「決…
■「決めていたら…」自分を攻めた平良
12月26日の「SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」男子3回戦、開志国際高校(新潟県)と福岡大学附属大濠高校(福岡県)による戦いは75-77でタイムアップ。40分では決着がつかず、オーバータイムの末に福大大濠がベスト8に勝ちあがった。
開志国際は前回王者をあと一歩のところまで追い詰めた。前半を終えて28-45とリードされたが、第3クォーターに入ると北村優太(3年)が4本の3ポイントシュートを決めて反撃。その後は一進一退の攻防となり、1点ビハインドの第4クォーター残り11秒には、平良奏龍(3年)が2本のフリースローを獲得して逆転のチャンスが訪れた。
1本のみの成功にとどまるも、平良は持ち味のディフェンスで同クォーター最後の福大大濠の攻撃を死守。延長戦に持ち込んだ。運命の5分間は互いに死力を尽くした結果、わずかな差で福大大濠が上回った。
「(第4クォーターの)最後、自分の仕事でもあるディフェンスでスティールをしてフリースローをもらったんですけど、2本決めきることができなかったです。2本決めていたら勝っていたと思うので悔しい気持ちでいっぱいです」
平良は自分を責めた。しかし富樫英樹コーチは、ベストメンバーで戦えなかったことに悔しさをにじませつつ選手たちの勇姿を称えた。その声は震え、目には涙が浮かんでいた。
「今年は勝ち負けというより、やっぱりみんなでゲームをしたかったです。言葉がないですね。本当に子どもたちはよくがんばってくれました」
■富樫コーチ「やっぱり3年生に感謝」
チームは福大大濠相手に驚異の粘りを見せた。富樫英樹コーチは「やっぱり3年生の思いですよ」と、その中心にいた北村、キング太ら最上級の存在を強調。「今年は常に誰かがケガをしていたので、メンバーがそろったのは9月中旬から11月の中旬までの2カ月だけなんですよ。正直参りましたけど、子どもたちはめげずにやってくれました。やっぱり3年生に感謝です」と労い、「この悔しさを下級生たちが引き継いでくれればいいなと、そういう気持ちです」と下級生たちへの期待を口にした。
「後半は大濠さんに勝っていたわけですし、自分たちのバスケができたことは自信にしていいと思います。けど、1試合を通してやりきることができなかったですし、そういうところは大濠さんとの差だと感じました。自分たちの詰めが甘くて勝ちきることができなかったので、負けてしまったのは本当に自分の責任だと思ってます」
そう振り返った北村は、今年はダブルキャプテンの1人としてチームを引っ張った。参考にしたのは、同じく開志国際の4番を背負った澤田竜馬(明治大学2年)、清水脩真(筑波大学1年)の先輩ポイントガードだ。
「一昨年は澤田さんがいて、去年は清水さんがいて、本当に尊敬できる先輩でした。1、2年生の時はなかなか試合に出ることができなかったですけど、真似できるところは真似をして、3年生になったら自分も2人のようにチームを勝利に導ける選手になりたいと思ってここまでやってきました」
北村は「本当に不甲斐ないキャプテンでチーム崩れそうになった時期もありましたけど、最後までやりきれて良かったと思います」とこの1年を振り返った。
「本当に家族のような存在」と今年のチームを表現したのは、2年生エースの高橋歩路だ。来年は高橋や池田楓真、福大大濠との激闘を応援席で見守ったホーキンス然(ともに2年)らが中心となり、開志国際はさらなる高みを目指す。
文=小沼克年