NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスB2025年12月27日…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月27日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 東京サントリーサンゴリアス

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)


クボタスピアーズ船橋・東京ベイの立川理道選手。「チーム全体の競争は本当に激しい。若い選手たちと一緒にやる中で、試合に出たいという強いハングリーさを感じました」

今季の開幕戦、そこに立川理道の姿はなかった。クボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団後、開幕戦に出場しなかったのは2015シーズン、2024-25シーズンの2回のみ(2022シーズンは開幕戦がコロナ禍で中止)。遠征や負傷以外の理由でベンチにも入らなかったのは、今季が初めてである。

「けが明けで復帰はしていましたが、出場できる状態かと言われればまだだったと思います。プレシーズンから試合を重ねてきた選手が多かったですし、選ばれなかったのは妥当だと受け止めていました」

過酷な戦いが続くシーズンは登山のようなものである。その頂に至るには情熱と忍耐の両方が欠かせない。『GRIT』(グリット/やり抜く力、折れない心)をスローガンに掲げる今季のスピアーズ。チームは頂を目指すメンバーを『CLIMBERS(クライマーズ/登る者たち)』、ノンメンバーの選手を『PORTERS(ポーターズ/荷を背負い、支える者)』と呼ぶ。開幕戦でメンバーに名を連ねなかった立川は、ポーターズに身を置いた。

「ここ2週間はポーターズと一緒に練習してきましたが、相手チームのラグビーを再現しながら、その中で自分をどうアピールするかが求められます。若い選手たちが、そうした難しい感情を抱えながら練習に取り組んでいるということを実感しました」

立川は、そのキャリアの大半をキャプテンとして歩んできた。いまもチームを俯瞰し、いつもとは違う緊張感や、その場に漂う空気の変化を敏感に察知してしまう。「キャプテン時代の癖が、なかなか抜けない」と本人は苦笑する。

ただ、キャプテンという役割を終えたいま、プレーヤーとしての“我”を抑えているのかといえば、決してそんなことはない。チームの未来を考えれば、ニュージェネレーションズが台頭して新陳代謝が起こることは喜ばしいことである。若い選手たちの活躍を目にすると、純粋な喜びがこみ上げてくる。

一方で、このままポジションを明け渡すつもりはさらさらない。そうした立川にとって、ポーターズとして過ごした時間は、新鮮な刺激に満ちていた。

「チーム全体の競争は本当に激しい。若い選手たちと一緒にやる中で、試合に出たいという強いハングリーさを感じました。そうした思いが試合メンバーにも良い影響を与えているんだと、あらためて思いました。選ばれた以上は、責任あるプレーをしなければいけないと感じています」

今節は、東京サントリーサンゴリアスとのライバル対決。『22番』のジャージーで、立川はベンチに入る。それは、先週までは押川敦治が背負っていた番号だ。

「押川がプレシーズンから積み重ねて勝ち取ったポジションを、今回は自分が任される。そのぶん、彼の思いも背負って、しっかりとパフォーマンスを出したいと思っています。その責任を強く意識して、プレーしたいです」

スターターでもない、キャプテンでもない、立川理道の現在地。そこにあるのは、チーム内の熾烈な競争を生き抜く覚悟。“ミスタースピアーズ”と呼ばれる男は、新たな境地で頂へ歩みを進める。

(藤本かずまさ)