新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」が1月4日に東京ドームで行われる。“…

新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」が1月4日に東京ドームで行われる。“100年に1人の逸材”として団体を引っ張り、現役を引退する棚橋弘至(49)が運命の1・4を迎える。チケットが全席完売となった大注目の大会を前に、棚橋の激闘10選を10回にわたって振り返る。第2回は2007年10月8日、2回目のIWGP王座となった両国での永田との一戦。

<棚橋弘至・激闘10選:第2回>◇2007年10月8日◇東京・両国国技館

棚橋弘至(30)が、IWGPヘビー級王者永田裕志(39)を31分5秒、ハイフライフローからの片エビ固めで破り、約半年ぶりに王座を奪回した。棚橋は早くも次なる目標に、昨年7月にブロック・レスナーに持ち逃げされ現在はTNAのカート・アングルが持つ、3代目IWGPヘビー級ベルト奪回を掲げた。

これでもか!とばかりに棚橋が飛んだ。ドラゴンスクリュー連発でひざを痛めつけ、飛龍原爆固めで投げても永田は立ち上がってきた。必殺技のハイフライフローも2度、返された。気持ちが折れそうになる寸前で、王座奪回への執念を駆り立てた。3度目のハイフライフローで、ついに永田をリングに沈めた。「オレが一番強いと分かっただろ」。おごり高ぶった言葉も何ら違和感はなかった。

「3代目IWGPベルトをオレの手で取り戻す」。棚橋を突き動かしたのは、この一念だった。昨年7月に自分との防衛戦をドタキャンした王者レスナーにベルトを持ち去られた。それどころか6月のIGFの旗揚げ戦で試合に懸けられ、アングルの手に渡る屈辱的事態も起きた。「この問題のきっかけはオレ。ベルトが二つあることがファンを混乱させている。自分のケツは自分でふく」。この気持ちが王座奪回の原動力になった。

そう豪語できるだけの自信も備わった。前回の王者時代はフロントから指名された選手と防衛戦をこなす優等生だったが、今回は違う。勝利者インタビュー中に乱入した後藤洋央紀の対戦要求を、独断で受け入れた。これからは、自分の強固な意思のまま行動する王者に変身する。

そんな棚橋の強い意欲が呼び寄せたかのように、アングルの、来年1月4日の東京ドーム大会参戦が決まった。「アングルにドタキャンさせないように、TNAに乗り込んで、テレビ生放送中に対戦要求することも考えている」。周囲のお膳立てを拒否し、自力で対戦を実現させるつもりだ。新日本プロレスの威信を取り戻し、「棚橋時代」を築くためにも。

<注>当時の記事をリメーク。記事中の年齢、肩書などの表記は当時のものを使用。