■左ワイドはJ1最多のクロス数 J1ベスト11の後編は両ワイド(FW、MF)部門から進めたい。 まず、右ワイドは伊藤達哉…

■左ワイドはJ1最多のクロス数

 J1ベスト11の後編は両ワイド(FW、MF)部門から進めたい。

 まず、右ワイドは伊藤達哉(川崎フロンターレ)だ。通算13得点のうち、2度の4戦連発を含む計11得点を叩き出した後半戦の働きは、圧巻の一語。そのうえ、決定力の指標の1つとされるG-xG(実得点と得点期待値の差分)が8.2(2位)という高い数値を示した。とりわけ、敵の虚を突くタイミングで放つ一撃がゴールラッシュの源に。

 そして、左ワイドは相馬勇紀(町田ゼルビア)だ。この人がひとたびボールを持って仕掛けたら、止めるのは至難の業だった。鋭いカットインから繰り出す一撃は豪快無比。そこに精度の高さが伴い、9得点に結びついた。また、クロス数172はJ1最多。サイドを深々とえぐってからの折り返しで、計10アシストを積み上げた。

■アイコンなしで「ベスト11」は語れない

 最後はFW部門。

 1人目はJ1得点王に輝いたレオ・セアラ(鹿島アントラーズ)だ。まずもって触れるべきは破格の決定力。先の伊藤のところで触れたG-xGは9.4と文句なしの1位。その好例がJ1年間ベストゴールに選ばれた柏戦(第24節)の超絶ロングショットだろう。鹿島の優勝も、決めるべき人が決め続けた結果と言ってもいい。

 2人目はラファエル・エリアス(京都サンガ)だ。京都をクラブ史上最高の3位へ導いた主人公。なかでも壮絶な撃ち合いを制した鹿島戦(第9節)のハットトリックにストライカーとしての凄みが凝縮されていた。また、プレスの先兵としても申し分のない働き。攻守問わず、チームへの貢献度は絶大だった。

 そして、3人目は鈴木優磨(鹿島アントラーズ)だ。王者鹿島のアイコンを抜きにベスト11は語れまい。さまざまなポジションと役割をこなした末の10得点5アシストには数字以上の価値がある。被ファウル数90はJ1最多。文字通り、体を張って時間をつくり、攻めの起点となった。満身創痍の中でねじ込んだ京都戦(第35節)での同点ゴールは今後も語り草となるはずだ。

 結果的には、Jリーグアウォーズで発表された2025年の「ベストイレブン」と“ほぼ同じ”顔ぶれとなった。その意味で新鮮味も意外性もないが、各々の演じた今季のパフォーマンスを振り返れば、やはり《最高の11人》に選ばれて然るべき選手たちだと思う。

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