日本ハムがソフトバンクから自由契約となっていた有原航平投手(33)を獲得することが25日、分かった。メジャー再挑戦の可能…
日本ハムがソフトバンクから自由契約となっていた有原航平投手(33)を獲得することが25日、分かった。メジャー再挑戦の可能性も模索していた2年連続最多勝右腕は、この日までに古巣への6年ぶり復帰を決断した。4年総額24億円規模の大型契約とみられ、年明けにも正式発表される見通し。この移籍がもたらすメリットを担当記者が解説する。
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日本ハムが大きな補強を完遂した。ソフトバンクの連覇に貢献したエース右腕の有原を6年ぶりにカムバックさせることに成功した。4年総額24億円規模の大型契約で合意。単年では11年ダルビッシュの年俸5億円を上回る。球団史上最高年俸を提示したのは安定した結果を残し続けてきた14年ドラ1右腕への誠意だけではない。
獲得には大きなメリットがある。有原は今季26試合に先発して14勝9敗、防御率3・03だったが、特筆すべきは投球回。2年連続で最多勝を分け合った日本ハム伊藤大海(196回2/3)に次ぐリーグ2位の175回を投げ、ソフトバンク先発陣全体(890回)の19・7%を占めた。ちなみに昨季はリーグトップの182回2/3だった。直近2年のパ・リーグで180投球回を超えたのは今季の伊藤と昨季の有原だけ。日本ハムはもともと豊富な先発陣を抱えるが、イニングイーター2人の存在が、さらに盤石とさせるはずだ。
その一方で、ソフトバンクも先発補強として台湾・味全の最速158キロ右腕の徐若熙(シュー・ルオシー)を獲得した。しかし、新外国人の成績には未知数のリスクがある。有原の安定感を考えれば、抜けたイニング数を埋めるのは容易ではない。他の4球団にとっても有原の脅威は不変。単純な日本ハムだけの戦力の上積みではなく、リーグ全体のパワーバランスも変え得る移籍と言える。
振り返れば、11月22日にエスコンフィールドで行われたファンフェスのフィナーレで、新庄監督はファンへ向かって言っていた。
「2026年の開幕戦の相手、決まりました。ソフトバンクです。この3つ、絶対の絶対の絶対に3タテします。おそらく(開幕投手は)モイネロ君が来ると思います」
ソフトバンクの開幕投手が有原の可能性も十分にある時期に、あえて指揮官は言った。球団フロントの来季へ懸ける思いもくみ取り、宿敵からエース右腕を引き抜くことへの期待を込めて言い切ったのだろう。
22年オフには近藤が日本ハムからソフトバンクへFA移籍し、メジャー帰りの有原の争奪戦にも敗れた。昨オフは日本ハムからメジャーへ挑戦していた上沢も奪われた。その3人が壁となった今季の2年連続2位。やられっぱなしでは終われない。有原との大型契約には、10年ぶりの覇権奪回へ挑む日本ハムの覚悟、本気度がにじんだ。【木下大輔】
◆有原航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日、広島県生まれ。広陵、早大を経て14年ドラフトで4球団の1位指名を受け、日本ハム入団。15年新人王、19年最多勝。20年オフにポスティング制度でレンジャーズ移籍。23年に国内復帰しソフトバンク入り。24、25年は最多勝に輝き、リーグ連覇に貢献した。190センチ、100キロ。右投げ右打ち。25年推定年俸は4億円。