サウジで公開練習を実施したピカソ(C)Getty Images いまだ敵なしの“モンスター”の牙城は崩せるか――。来る1…

サウジで公開練習を実施したピカソ(C)Getty Images

 いまだ敵なしの“モンスター”の牙城は崩せるか――。来る12月27日にサウジアラビアの首都リヤドで、世界4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋)に挑むWBC同級2位のアラン・ピカソ(メキシコ)への注目が集まっている。

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 下馬評はお世辞にも高いとは言い難い。なにせ対峙するのは、31戦無敗(27KO)を誇る井上だ。数多の名手たちが「倒す」と意気込んでも、圧倒されてきた傑物を前にしたピカソの勝利を予想する声は大きくない。

 もっとも、戦う前から勝負を諦めてかかるファイターなどいない。かくいうピカソも対井上に闘志を燃やし続けている。

 地元メディア『IZQUIERDAZO』のインタビューに応じたピカソは、「モンスターだって血を流す。僕らは彼が血を流すところを見た」と豪語。偉才にも突くべきポイントはあるとし、「ナオヤも倒れることは分かっている。判定であれ、ノックアウトであれ、彼だって負けるんだ」と世界が恐れるモンスターも、あくまで人の子であるという考えを示した。

 無論、井上を軽んじているわけではない。同メディアのインタビューで「卵を入れて、あとは適当に混ぜれば、ナオヤに勝てるなんてレシピはないんだ」と分析不能の日本人ファイターがいかに図抜けた存在であるかを明らかにしている。

 それでも戦う以上は抗うのが、ボクサーの生き様だ。メキシコ国立自治大に在学する秀才は、こう続けている。

「僕は必ず勝つつもりでいるから信じてほしい。そのための自信を持っている。イノウエとの試合で、僕は家族、自分、国、そして毎日働きに出るすべての人々のために戦う。どんな人も夜明け前に家を出て働きに行くが、無事に帰れるかどうかは分からない。そのことは、僕の心と精神、そして身体に深く刻まれている。

 僕らは毎日のようにジムで身体を酷使してきたし、誰よりも強くなるように鍛えている。だからこそ、勝つと確信している。だから信じてほしい。僕は偉大なことを成し遂げ、世界タイトルをメキシコにもたらすよ」

 己を極限まで追い込んできた。だからこそ自信が湧き上がる。果たして、ピカソはいかなる戦いを井上と見せるのか。「信じてほしい」と繰り返したおとこのパフォーマンスに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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