第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、15年連続67回目の出場となる順大は、10月の箱根予選会を2位で通過し、本戦…

 第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、15年連続67回目の出場となる順大は、10月の箱根予選会を2位で通過し、本戦では5位以内を目標に掲げる。名門復活の鍵を握る“目玉ランナー”が前回ルーキーで花の2区を走った玉目陸(2年)だ。父・隆博さんは箱根を日体大で3度走り、伯父の本川一美さん(53)も順大で4年連続2区を務めた“箱根一家”の末裔(まつえい)だ。長門俊介監督(41)が「エース不在」と語る中、同部屋の先輩・吉岡大翔(3年)とともにエースに名乗りを上げた。

 今月17日の合同取材会。玉目は詰めかけた多くの報道陣の前で、マイクを強く握りしめた。「吉岡さんがエースに立候補していますが、自分もエースに名乗りを上げたい」。迷いのないその一言に、覚悟の強さがにじんだ。

 2年生だが、実績は十分。1年時の関東学生対校選手権1万メートルで8位入賞。前回の箱根では新人ながら花の2区に抜てきされた。長門監督も「大舞台でも動揺することなく走れる」と度胸を買う。今季は1年間けがなく練習を積み上げ「今年の状態はとてもいい。スタミナがついてきて右肩上がり」と手応えを口にする。

 幼い頃から箱根は身近だった。父の隆博さんは日体大時代の1996年大会から3大会(1年3区14位、3年3区15位、4年7区9位)で箱根を経験。父の義兄、伯父の本川一美さんも順大で91年大会から4年連続2区(6位、区間賞、15位、2位)を走った、まさに箱根一家だ。「初めて箱根を見たのは5歳の時。母から『お父さんも箱根を走っている』と聞いて、初めて意識しました」。中学では全国大会で9位となり、監督の父と二人三脚で駆けた出水中央高では5000メートルで13分台を記録。たゆまぬ努力で自身も箱根を現実の舞台へと変えてきた。

 前回の箱根は2区で区間16位。「最後の戸塚の上りで失速して悔しかった」と振り返り、2年時に2区区間賞を獲得している伯父からも「後半の上りが大事」と助言を受けた。反省を踏まえ、今季は自ら5区対策の練習にも同行。上りを駆け上がる筋力とスタミナを徹底的に強化してきた。

 「吉岡さんと自分で順大のダブルエース。その名を日本中に知らしめたい」。高校時代から注目されてきた吉岡と寮で同部屋だ。「僕が順大を選んだきっかけの選手」と尊敬を抱く存在。駅伝一家のDNAを受け継ぎ、憧れの先輩とともに箱根路で名門復活へと導く。(綾部 健真)

 ◆玉目 陸(たまめ・りく)2005年6月15日、鹿児島・出水市生まれ。20歳。出水中3年時に全国中学生陸上競技大会で3000メートル9位。出水中央高では1万メートル28分40秒24で県高校記録を樹立。24年4月に順大スポーツ健康科学部に入学。箱根駅伝は1年2区16位。自己ベストは5000メートルが13分57秒45、1万メートルが28分13秒67、ハーフマラソンが1時間3分58秒。164センチ、46キロ。

 ◆順大 1952年創部。箱根駅伝は58年に初出場。66年に初優勝し、歴代4位の優勝11回。出雲駅伝は99、2000、01年と優勝3回。全日本大学駅伝は00年に優勝し、同年度は学生駅伝3冠を達成した。練習拠点は千葉・印西市。タスキの色は白地に赤。長距離部員は64人、学生スタッフは9人。主なOBは「初代・山の神」今井正人コーチ、21年東京五輪3000メートル障害7位の三浦龍司(現スバル)ら。