NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン3 第2節2025…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第2節
2025年12月21日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 20-33 狭山セコムラガッツ

福岡の地での勝利に貢献した、二人の元気印


狭山セコムラガッツのセンター、中洲晴陽(なかすはるや)選手

「晴陽、よく頑張ったぞー!」

ルリーロ福岡のホスト開幕戦となった試合。後半33分に入替となった狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の中洲晴陽に、スタンドのファンから大きな拍手とともに掛けられた言葉だ。

今季初スタメンで福岡県出身の中洲を見ようと、会場には家族や友人たちが数多く詰め掛けたという。チームスタッフも「中洲の関係者がたくさんきていますよ」と教えてくれた。そんな中で中洲は持ち前の力強いコンタクトと、突破力を見せてチームの今季初勝利に貢献した。「家族や友人がたくさん見に来てくれたので、いいところを見せたいと試合に挑みました。でも、気持ちが前に出過ぎてしまい、ボールを落とすなどのミスも多かった。そのあたりのコントロールは今後、修正が必要な課題だと思います」と振り返った。

リーグワンでの2シーズン目を迎えるにあたり、中洲はこれまでより体重を5kg落として動きのキレを高めるように取り組んできたという。「少し体重を落として、動きやすさを上げようと考えています。チャレンジ段階なので、まだまだ試行錯誤は必要ですが、徐々にフィットしている感じはあります」。

攻撃面ではラインブレイクとゲイン。守備面では相手に激しいプレッシャーを掛けることが求められている中洲。その両立を図る意味でも、これまで以上に動きの幅を広げる必要があるという。だからこそ、今までにない取り組みを考えて努力を続けている。

「いまはチームから求められていることをしっかりとこなすだけ。コミュニケーションの部分もより強化したい」と、さらなる成長を誓った。

そしてもう一人、この試合で節目を迎えた選手がいる。狭山RGの森元一気だ。リーグワンでの初キャップをつかみ、その試合で見事なトライを決めてみせた。


狭山セコムラガッツのフランカー、森元一気(もりもといっき)選手(写真中央、黒のヘッドキャップ)

「緊張することなく、自分のプレーを100%やり切ろうという気持ちで試合に挑めました。自分らしいプレーができたところもありましたが、タックルを外された部分もあった。タックルは自分の武器でもあるので、その精度をもっと上げていきたいです」

課題も残ったがいい形でスタートを決めたことは間違いない。ショッピング好きの森元一気に、初トライのご褒美を聞くと、「まだないです」と話し、「年末に旅行に行く予定なので、カニを食べて英気を養います」と教えてくれた。

中洲、森元一気はともにチームの元気印として愛されているキャラクターだ。そんな二人が今後、どんな成長を遂げるか、注目していきたい。

(松野友克)

ルリーロ福岡


ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、三股久典キャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「本日は狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の皆さま、福岡までお越しいただきありがとうございました。今日、ホストゲーム開幕戦ということで、小郡市の皆さまを中心としたボランティアスタッフの方、ゲームの運営に携わっていただきました皆さまに、感謝申し上げたいと思います。

ゲームについては、第1節を終えてから、狭山RGさんとやる上で、接戦で勝つしかないと僕らは思っていたので、そこに向けてプランを立て、1週間準備してきました。選手は、ルリーロの土俵に狭山RGさんを引きずり込んで、取って取られてのシーソーゲームを繰り広げてくれたんですけれど、最後は、やっぱり狭山RGさんの地力が僕らより勝っていたなという印象を受けました。ただ、本当に引き締まったゲームで、選手は本当によく頑張ってくれたので、いい課題を次節に持ち込みたいと思います。クリスマスとお正月を休んで、選手にリフレッシュしてもらって、また第3節から頑張りたいと思います」

──前半は風上を生かして、いい試合運びができたかと思いますが、狙いどおりの形でしたでしょうか。また、ハーフタイムの際、風下になる後半へ向けて、どのような指示を送りましたか。

「風上が取れたので、キックを使いながら敵陣でプレーするというところを選手が理解して、いい選択をしていたんじゃないかなと思います。ハーフタイムでは、『風が止んでくれる』と神頼みのようなことも言ったのですが、風下になると、自分たちはボールをしっかり動かして出られないぶん、工夫をしてセットピースを減らしていこうとは伝えました。なかなか(相手の)プレッシャーを打開することができませんでしたが、選手はよく考えてプレーしてくれたと思います」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「本日はたくさん応援に来ていただき、ありがとうございました。ルリーロ福岡としましては、開幕戦で勝ち切った、アウェイで勝ち切った勢いを今日持ってきて挑んだ試合でした。準備のところとしては、特に変えることはなく、今までやってきた中で精度やラインのアラインメント(連係)、規律の部分という細かい修正をしてきて、本日に臨みました。前半の入りから自分たちのペースをなんとかつかめたかなと思うんですけど、タフな時間になってきたときにペナルティが多くなってしまったり、プレーの完結のところで自分たちで自滅してしまったりするところがあって、今日は負けてしまいました。でも、本当に昨季以上にチームとしてはまとまりと成長しているところがあるのかなと思います。しっかりポジティブに捉えて、また次節に臨みたいと思います」

──昨季の狭山RG戦は、3試合いずれも大差を付けられての黒星でした。今日も13点差ですが、昨季よりも接戦に持ち込むことはできたと思います。昨季の対戦を経て、今日の試合で気を付けたことはありましたか。

「昨季は、シーズンインから自分たちの規律の部分やコントロールできるところで、すごくペナルティが多く自滅していたと思います。今季はそこを意識的に変えていこうとしています。あとはフォワードのセットピースがすごく安定しているので、敵陣でしっかりプレーする時間を長くしようというところを意識しています。本当にセットピースが安定しているので、いろいろなオプションが増えて敵陣でもプレーできています。対戦相手どうこうではなく、自分たちにしっかりベクトルを向けて、そこの精度を上げてきたという感じです」

狭山セコムラガッツ


狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「ルリーロのファイティングスピリットは素晴らしいと思いました。昨季と比べたら全然違うレベルでラグビーをやっていました。僕たちは、先週も同じ問題がありました。チャンスは多いのですが、得点を取れなかった。ラストパスのエラーも多い。でも勝ったから良かったですし、ボーナスポイントももらったのでそれも良かったです。でもターゲットは優勝だから、優勝したいならば、そのエラーを減らさなければいけない。簡単なハンドリングエラーが多過ぎます。ペナルティは、そんなに多くなかったけど、まだ80分間をとおしてフォーカスはできていないと思います。これからは、そこがフォーカスポイントになると思います」

──先週同様に、少し細かいミスが多かったと思います。優勝するためは、その点の改善が必要になってくるかと思いますが、選手たちへどのような対応をしてほしいと思いますか。

「難しい部分はあります。ポジティブなラグビーをやりたいのですが、その状況判断が少し足りていないです。いつも言っていることですけど、アプローチするのか、キャリーするのか、そういう判断をもっとうまくならなければいけないと思います。でも、コーチ席からプレッシャーを出し過ぎるとチームの雰囲気が暗くなってしまう。そのバランスは、これから大事。ポジティブなラグビーをやりたいというのがキーポイントだけど、それをやりながら状況判断のレベルも高めなければいけないと思います」

狭山セコムラガッツ
フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン

「まずは今日のレフリーの方々に感謝したいと思います。今日のコミュニケーションもうまくいきました。また会場の方々、ファンのみなさんもいいエナジーを、いい声援を送っていただいたのですごく良かったと思います。ありがとうございます。初めて国歌斉唱を経験できたことで、少し感情が出てしまいました。

試合については、まずはすごく安定したセットピースだったかなと思います。ディフェンスについても、チームの努力というのは素晴らしかったと思います。ですが、タックルの高さは少し課題かなと思います。ハイタックルで、連続でペナルティを相手に与えてしまっているので。アタックではボールキープの部分を高めようとしているのですが、ヘッドコーチからちょっとボールキープの部分で課題があったと(言われた)。ちょっと無理したパスを放っていて、自分たちで得点を取り切ることができなかったので、そこも課題かと思います」

──今日は、ゲームキャプテンを託された試合となりましたが、この試合に挑むにあたり、ご自身で意識していたことはありますか。

「まずは、ゲームキャプテンになれたことを光栄に思います。自分としては、この1週間の中で少しバランスをとって、この役割をいろいろな選手に分けていました。どちらかというとチームメートのベストを引き出せるように、自分のベストパワーを出せるようにお互いサポートし合うことを心掛けていました。その中で、自分のパフォーマンス、自分の役割というのをしっかり把握した上でリードしようかなとも思いました」