◆第70回有馬記念・G1(12月28日、中山競馬場・芝2500メートル)追い切り=12月24日、栗東トレセン 馬トク取材…

◆第70回有馬記念・G1(12月28日、中山競馬場・芝2500メートル)追い切り=12月24日、栗東トレセン

 馬トク取材班による追い切りチェックで、皐月賞馬ミュージアムマイル(牡3歳、栗東・高柳大輔厩舎、父リオンディーズ)が、最高評価を獲得。山下優記者がその追い切りを「見た」。

 状態の良さがダイレクトに伝わる。ミュージアムマイルは、栗東・坂路でアンズアメ(3歳3勝クラス)と併せ馬を行い、馬なりで首差先着。時計は55秒5―12秒5だったが、前日からの降雨で重たい馬場で、走りにくいコンディションを考えると、十分な負荷がかかった。これが有馬記念初参戦となる高柳大調教師は「1週前にしっかりやっているので調整程度ですが、いい状態で出走できます」と胸を張った。

 前走の天皇賞・秋の最終追い切りも坂路だったが、一杯に追って53秒8―12秒3。当時は併せた2歳1勝クラスの僚馬が馬なりだったこともあり、個人的にそこまでいい追い切りだったとは思えなかった。それでもレースでは初の古馬相手に2着。この馬の能力を見直す結果になった。

 稍重だった報知杯弥生賞で4着。レース後にトレーナーが「湿った馬場は良くない」と話していたのを思い出した。雨馬場が苦手なミュージアムマイルが、この日の力の要る坂路で併走馬を上回る手応えで走れたことに、さらなる成長を感じた。

 Cデムーロが乗った17日の1週前追い切りでは、CWコースで6ハロン78秒5―11秒4の自己ベストタイムをマーク。「この時計でも余裕があった。体も古馬に近づいて、全てにおいて成長しています」と鞍上も好感触を得た。高柳大調教師も「時計通り、春から比べるとずっと良くなっていると思う」と意見は一致している。

 最大のポイントは2500メートルの距離だが、「かかる馬ではない。今思うとダービー(6着)では疲れがあったかな。今回は間隔を取っているので」と指揮官は前向き。コーナー6回で直線が短い中山なら、名手の腕で相殺できる。「状態に関しては、皐月賞以上の感触がある。自信を持って出せる」と期待した。実績もある中山で良馬場なら、まず好勝負になると確信できた。(山下 優)