【リヤド(サウジアラビア)24日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が42年ぶり…

【リヤド(サウジアラビア)24日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が42年ぶりの快挙に挑む。27日に33戦無敗の挑戦者でWBC世界同級2位のアラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦を控え、ワークアウト(公開練習)に臨んだ。23年12月に獲得した米老舗専門誌ザ・リング認定ベルトの防衛戦でもあり、同ベルトの年間4度防衛成功は83年の元WBC世界ヘビー級王者ラリー・ホームズ(米国)以来、42年ぶりだという。サウジアラビアとも縁があるベルト防衛記録も目指す。

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27日に控える今年4度目の世界戦へ、井上は軽快に動いた。リヤドのグローバルシアターに設置されたリングで練習を公開。WBAとIBFは6度目、WBCとWBOは7度目、そして23年12月のマーロン・タパレス(フィリピン)戦勝利で獲得したザ・リング認定ベルトは6度目の防衛戦となる。5本のベルト死守へ「すごく(気持ちも)高まっている。こうやってメディア対応が続くと、気持ちも高まる。いよいよ」と気を引き締めた。

ピカソを撃破すれば、ザ・リング認定ベルトの年間4戦防衛成功となる。同ベルトを授与するザ・リングによると83年の1年間で4度防衛したWBC世界ヘビー級王者ラリー・ホームズ(米国)以来、42年ぶりの快挙だという。海外メディアに今回の勝利で今の名声はどう変わるかと問われた井上は「ザ・リングのベルトを持って(年4試合)防衛戦というのは、すごく久しぶりと聞いている。そういうことも加わるのかな」と意気込んでいた。

ザ・リング認定ベルトとサウジアラビアには縁がある。今回の興行を手掛ける同国の総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシク長官(44)が昨年11月、同誌のオーナーに就任。元世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ氏が代表を務める会社から買収した。3年前に経営効率化のために休止していた紙媒体の発行も再開。井上は23日の到着イベント、グランドアライバルでも壇上ではザ・リング認定ベルトを肩にかけて写真撮影に応じていた。

9月のWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)戦では高度な技術を駆使し、12戦ぶりの判定勝ち。今回は再びKOへの意識を高め「KOは毎試合、頭に入れている。どの流れでどのタイミングになるか。そこは当日、自分で探していきたい。」と心身を整えていた。

◆ザ・リング認定ベルト 創刊103年の米老舗専門誌ザ・リングが各階級の「真の王者」を認定する王座。1922年の創刊当初から認定ベルトは存在し、最初の戴冠者は同年、ジャック・デンプシーにヘビー級王座ベルトを授与。同誌の編集長、編集者に加え、各国ボクシングライターらメンバーとなって各階級のランキング、階級の垣根を越えた最強ランキング、パウンド・フォー・パウンドを選考。認定ベルトは各階級の1位、2位の対決に懸けられるのが基本。ベルトを保持する王者が黒星、引退、階級転向、長期の試合欠場などで空位になるなど規則がある。

◆ラリー・ホームズ 1949年11月3日、米ジョージア州カサバート生まれ。19歳の時にボクシングをはじめ、72年に五輪出場を逃すとプロ転向。73年3月に4回判定勝利でデビュー。78年にWBC世界ヘビー級王座を獲得。8度目の防衛戦でムハマド・アリ(米国)と対戦し14回TKO勝ちしザ・リング認定ベルトも獲得。83年に17度目の防衛成功後に王座返上。84年11月にIBF同級王座を獲得し3度防衛後、85年にマイケル・スピンクス(米国)に敗れて王座陥落。マイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールド(ともに米国)に挑戦も敗退。02年の試合を最後に現役引退。通算戦績は69勝(44KO)6敗。身長191センチの右ボクサーファイター。