NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第2節2025…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月21日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 6-49 豊田自動織機シャトルズ愛知
最年少出場記録樹立から2年での初トライ。20歳の可能性はここから加速する
久しぶりに出場機会を得た豊田自動織機シャトルズ愛知の高島來亜選手
リーグワン最年少出場記録を保持する豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)の高島來亜が、リーグワンで初めてトライを決めた。2023年12月10日に行われた2023-24シーズンのディビジョン2開幕戦(日本製鉄釜石シーウェイブス戦)で最年少出場記録を18歳8カ月17日に更新してからは、もう2年が経つ。
高島は、東海大学付属大阪仰星高校を卒業後にS愛知に加入した184cmの長身スクラムハーフだ。ただ、この日の試合に先発出場したスクラムハーフは、末拓実だった。末の見事なゲームコントロールは勝利に大きく貢献し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞。末と入替で入った湯本睦も、持ち味のアグレッシブさが光った。ディビジョン2で優勝し、今季こそ悲願のD1昇格を果たそうとするチームの質は高い。
そのぶん、「(ボールを)出す場面やスキルの部分」など高島が先輩たちから学ぶことも多かった。最初のシーズンは記録を更新した試合とその翌週の第2節のみに出場し、昨季は出場機会がなかったが、「高校のときからレベルが全然違うものになった」中で成長は求め続けてきた。厳しさも痛感したからこそ「試合に出ることが一番の望み」だと、強い意志をもつ。今季からは、自身のフィットネスの高さを生かせるウイングとの二刀流に挑戦。この試合でもウイングとして途中出場し、自身の初トライを決めた。
本来はスクラムハーフだがウイングにも挑戦中。この日はウイングとしてリザーブから出場しトライを獲得した
ウイングでは、「自分の持ち味であるランをより多く見せられる場面がありますし、スペースを見つけるのはスクラムハーフで培ってきたものが出せる」ことは強みになる。トライしたシーンでも、相手の裏にスペースが見えた。「試合前にも10歳年上の仰星高校の先輩である湯本さんと『そういうシチュエーションがあれば』と話していた」とおりに実現できたものだ。はにかみながら、けれどうれしさは抑え切れないといった表情で、「(パスを出した湯本との)仰星の絆で取れたトライでした」と喜びをかみ締めた。
家族が応援に駆け付け、母校の選手たちも見守る、地元・大阪での試合だった。加入当初に感じていた高校時代とのギャップから成長した姿を見せることができた手ごたえは、さらに前へ進む自信となるだろう。
どちらのポジションをやりたいというこだわりはない。目標は、「どちらのポジションでもチームのD1昇格に貢献できる選手になること」だ。最近は「少しウイングに傾いているような感じもしますけど」と少し笑って前置きしつつ、「僕の使い方は、コーチ陣に決めていただくものです。僕はどちらでもできるよう準備をしていく」。
伸びシロ十分な20歳の青年の挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。
(前田カオリ)
レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(右)、島田久満キャプテン
レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「関係者の皆さま、レフリーの皆さま、ありがとうございました。そして、この雨の中でも8,668名の皆さまにお集まりいただいたこと、本当に感謝しています。多くの皆さまの前で、われわれらしい戦いをお見せしたいと思っていましたが、なかなかそのようなところが見せられず、悔しい敗戦となってしまいました。プレッシャーを受けてしまいましたし、ペナルティの数で自分たちの首を絞めてしまったと感じています。とはいえ、シーズンの序盤です。自分たちのやり方はステップアップしていますので、シーズンを通じてこれからも成長していけるように頑張っていきます」
──開幕から2戦、黒星が続きましたが、次節にどのように臨みたいと考えていますか。
「試合後のチームのハドルでも話してきましたが、今季はチームとしての戦い方にこだわってやっていますので、下を向かずに一回一回の試合を戦っていくことが大切です。今日も80分の中で、われわれの良さがいくつか出たところがありました。昨季よりも明確に良い部分がありましたので、それをしっかり出していきたい。劣勢になっている部分に関しては選手に伝え、修正していくことができれば、特段問題はないと考えています。1月の試合に期待してください」
レッドハリケーンズ大阪
島田久満キャプテン
「試合開催にあたりご尽力いただいた皆さま、ありがとうございました。また、本当に多くの観客の皆さまの中でプレーできたことを本当にうれしく思っています。
試合を振り返ると、自分たち自身で規律を守れませんでした。前半の入りから何度もペナルティを重ねてしまい、後半の入りでも同じようにペナルティがありました。そういったところから豊田自動織機シャトルズ愛知さんのプレッシャーを受け、ディフェンスでも止め切ることができず、失点が続きました。悔しい敗戦となりましたが、すべてがネガティブではなく、セットピースではスクラムでプレッシャーを与えられるところもありましたし、ディフェンスでもプレッシャーを掛けられたところもありました。引き続き、シーズンを通じて向上させていきたいと考えています」
──相手陣の22mラインに入っている場面も多くありましたが、得点を取り切れなかった原因はどういうところにあったのでしょうか。
「相手の圧力を受けてしまった部分はありました。けれど、自分たちのちょっとしたコミュニケーションのミス、ポジショニングなどが原因でもあったと思います。今日は少し、気持ちが先行してしまったように感じました。もう一度冷静に自分たちはどうしていくのかを突き詰め、練習から精度高く取り組んでいきます」
豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(右)、中野豪 共同キャプテン
豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ
「毎年申し上げていますが、本日はこの素晴らしいスタジアム、レッドハリケーンズ大阪さんの地元に根付いた素晴らしいファンの皆さまの前でラグビーができたこと、まずはチームを代表して感謝を申し上げます。
天候も悪かったので、ボールが大きく動くような展開ではなく、シンプルなところでドミネートしていく試合になることを想定していました。選手たちは、80分間ギアを緩めることなく遂行してくれました。選手たちを讃えたいと思います」
──プレーヤー・オブ・ザ・マッチの表彰を受けた末拓実選手の評価をお願いします。
「前半、天候と相手のプレッシャーが非常に厳しい中で、しっかりゲームをコントロールしてくれました。それが、彼が今日評価されるべきポイントなのかなと。彼が前半にゲームをうまく作ってくれたおかげで、後半に入った湯本(睦)も非常にアグレッシブにプレーできました。末のゲームコントロールのおかげかなと思っていますし、彼のその点は素晴らしかったと思います」
豊田自動織機シャトルズ愛知
中野豪 共同キャプテン
「80分間、試合をとおしてチームとして我慢できたことが、勝利できた要因の一つだったと思います。ディフェンスの部分では、後半は特に自陣でのディフェンスが多かったですけど、そこで規律を崩さずにコリジョンの部分で勝てていたことが、(相手の)ノートライでの勝利につながりました」
──雨の中、大きくリードしている状況でした。グラウンドではどのようなコミュニケーションを取っていましたか。
「雨は想定していたことでしたので、今週はアタックもディフェンスもシンプルにコリジョンの部分で戦おうと準備していました。前半は、20分を過ぎたあたりからミスがありました。そこからのバトルでもミスが増えてしまった部分があったので、そこの部分ではもう少しクリアなコミュニケーションを取りたいと感じました」