男子ゴルフでツアー最多94勝を誇り「ジャンボ」の愛称を持つプロゴルファーの尾崎将司さんが23日午後3時21分、S状結腸が…
男子ゴルフでツアー最多94勝を誇り「ジャンボ」の愛称を持つプロゴルファーの尾崎将司さんが23日午後3時21分、S状結腸がん(ステージ4)のため78歳で死去した。24日、長男の智春さんの名前で発表された。葬儀は故人の遺志により、近親者のみの家族葬として執り行うという。後日、お別れの会の開催を予定している。「エースキャディー」として通算30勝以上を一緒につかんだ佐野木計至さん(77)が24日、尾崎さんとの思い出を語った。
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愛媛県に住んでいる佐野木さんは今月10日と翌日に、千葉にある尾崎さんの自宅を訪れていた。
「ジャンボに『出てこい』と言われて行ったんです。ある程度は覚悟していたけど、思ったより元気で。最初の日は『ダイエットに成功したよ』と大笑いしたりして、元気そうだったけど、2日目はしんどそうであまり声は出なかったです。初日にいろいろ話しましたけど、ああいう(細くなった)姿は想像つかんですよ。1年前に行ったときは、全然元気だったのに…」
尾崎さんは入院することを拒み、自宅で闘病を続けていたという。
「『何をこの場になってバタバタすることがあるんだ。オレはやりたいことをやり尽くした。うまいもんをたくさん食ったし、ほかの人にはできないこともやった。こんな楽しい人生はないよ。わが人生に悔いなしだよ』と話してました。『やり尽くしたよな』と聞いてきたから、うん、と言ったんです」
佐野木さんは、尾崎さんの数多くの偉業をサポートしてきた。96年のダンロップフェニックス3連覇、97年には中日クラウンズ3連覇、98年にはKBCオーガスタ3連覇…。「懐かしいですよ。(95年ダンロップ)フェニックスの逆転イーグルとかね。今日くらいビデオを出して、見ようかな」としみじみ語った。
同じ徳島の宍喰町で育った。「僕が1つ年下で。保育所から幼稚園、小中高とずっと一緒でした」。徳島海南高の野球部でも同じ。64年センバツでは、一緒に優勝の喜びも味わった。長い間、濃厚な時間をともに過ごしてきた。
故郷には既にお墓も建てている。尾崎さんのお墓は、ゴルフボールのディンプルを入れていて、スマートな形。30メートルほど横には佐野木さんのお墓もあり、現在はカバーをしているという。
「今度の正月に除幕式をしようと、僕が言ったんです。国道沿いに、ジャンボの墓だと矢印を立てとくから、と。そしたらジャンボは『おう、頼むよ』って。向こう(天国)に行ったら練習しといてよ。俺がまたバッグを担ぐからって言ったら『ヨッシャー』って…。試合ではハイタッチはしたことはあるけど、握手はなかった。最後に握手をしました。涙が出ましたよ」。最後の2人のやりとりを振り返り、声を震わせた。
「豪華に離陸していきましたよ。感謝しかないです。ありがとうございました、向こうでもお願いします…と伝えたいです。イラちやから『はよ来い』って言われるかも…。男子ゴルフ界に頑張ってほしいね」