NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第2節(リーグ…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第2節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月21日(日)12:25 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート 23-28 コベルコ神戸スティーラーズ

ミスを引きずらずにプロセスを信じて。初勝利をつかむために必要なマインドセット


三重ホンダヒートのマヌ・ヴニポラ選手。「一貫性をもつことが大事なんです」

21日に行われたコベルコ神戸スティーラーズ戦、キックオフから3分あまりのことだ。ペナルティを得た三重ホンダヒート(以下、三重H)は、3点を狙うキックを選択。だが、マヌ・ヴニポラが蹴ったボールは、右ポストの外を通過していった。

「少しリラックスし過ぎました。試合の中でも、時には集中力が切れてしまい、違ったことを考えてしまう瞬間があるものです」

ヴニポラは、その場面を振り返ってそう話す。この日の三重交通G スポーツの杜 鈴鹿は冷たい雨が降っており、ペナルティゴールが狙える場面では積極的に3点を刻んでいこうという戦略をもっていた。重要な役割を任されていたキッカーの彼にとって、失敗により難しい状況に陥ったことは想像に難くない。

しかし、彼はその後に挑んだ5本のペナルティゴールをすべて成功させ、一人で15点を叩き出した。勝利には届かなかったとはいえ、そのメンタリティーや反発力は見事の一言。2本目を蹴るにあたってのメンタル面について聞くと、彼はこう答えた。

「失敗したことは一旦忘れて、とにかく次に向かおうというマインドセットをもっていました。普段の練習からプレッシャーを掛け合いながら蹴っていますし、プロセスを信じてしっかりやれば、自ずと物事は成功するのだと思っています。一貫性をもつことが大事なんです」

ミスを引きずらず、これまでやってきたプロセスを信じる。その心持ちが5本連続の成功を導いたという。失敗を引きずらないこと、そして一貫性。「それは今こそチームに必要なものになりそうですね?」と聞くと、ヴニポラは「まさにそうです」と答え、インタビューを締めくくった。

「次の試合では必ず勝利をもたらすので、みんなで喜びましょう。メリークリスマス。そして、良い新年を」

これで開幕2連敗となったチームは、27日に佐賀県の駅前不動産スタジアムでリコーブラックラムズ東京と年内最後の試合に挑む。遠くまで駆け付けるファンに今季最初の勝利を捧げるため、三重Hは積み重ねてきたプロセスを信じて戦い続ける。

(籠信明)

三重ホンダヒート


三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、パブロ・マテーラ ゲームキャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「本日は少し発言に関して気をつけなければならないと思っています。とても悔しい気持ちであることは間違いありません。後半の最初の10分はなかなか自分たちが狙ったことはできませんでしたが、思いどおりのプレーを見せることができた時間も多くありました。しかし、このレベルのラグビーの大会を開催するにあたって受け入れがたいような判断があったようにも感じます。そのような点でいまは憤りを感じていますので、その怒りを抑えながら、私は言葉を慎重に選んでいます」

──5点を追う状況で選手がボールを外に蹴り出して試合を終了させました。その判断についてはどのような経緯で行われたのでしょうか。

「『ボーナスポイントを取りにいった』というのが、プレーヤーの判断でした。ここで1点を取るかどうかという点は、シーズンが終盤へと近づくに従って生命線となる可能性があります。あの場面でペナルティを相手に与えて、失点を重ねてボーナスポイントを取れなくなるおそれがあると考えれば、私としてはその判断についての異論はまったくありません」

三重ホンダヒート
パブロ・マテーラ ゲームキャプテン

「われわれはいいラグビーをしていましたし、もっと良い判断を仰ぐことができればと思った部分もあります。後半の最初の10分を除けば、われわれは試合を支配することができていました。キックバトル、スクラム、そのどちらでも優位に立てていました。前半に関しては、ペナルティは3回のみ(※公式記録では4回)でしたし、われわれがいかにコントロールできるチームであるかを示せたと思います。だからこそ、前半の終わりごろから後半にかけて2枚のイエローカードが出て、二人少ない状況でプレーしなければならなかったことは、自分にとって驚きでした。それがわれわれの規律を示しているとは思えません。しかし、われわれはどうしても試合の流れに順応することができず、後半すぐに14失点してしまいました。その後は追い掛ける展開になりましたが、われわれとしては勝てた試合だったと思っています」

──先週の試合と比べれば、キックやラインアウトの精度がかなり改善されていたように思います。チームとしてどのようなことに取り組んできましたか。

「かなりうまくいっていたと思います。実は、今朝集まっていろいろな変更点を確かめたところでした。今日の天気は雨でしたから、テリトリーを取っていかなければならないし、キックゲームやキックバトルで勝たなければならないという話を選手同士で確認しました。テリトリーを取ることはできたと思いますし、キックチェイスでプレッシャーを掛けることにも成功していました。ペナルティに関しても、相手がペナルティをしていく中で3点を徐々に積み重ねていく点が、前半は特にうまくいっていました。戦術面では機能しましたし、コンタクトでも負けていません。スクラムでもペナルティを獲得できていましたし、特にキックゲームについては成功していたと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ


コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(左)、李 承信 共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ

「非常に良くないスタートになり、ペナルティの点でも序盤は一方的にやられました。さらにシンビンも出てしまい、自分たちの勢いをつかむまでかなりの時間を要してしまいました。正しいエリアでポゼッションできれば、相手に対してしっかりプレッシャーを掛けることができましたが、三重ホンダヒート(以下、三重H)さんも素晴らしいキックゲームのプランからわれわれにかなりの圧力を掛けてきました。しかし、後半は素晴らしいスタートを切ることができましたし、テンポよくトライを重ねられました。ただ、2トライを連続で取ったあと、キックを使って相手を敵陣に閉じ込められるチャンスが何度かあったものの、われわれは誤った選択をしてプレッシャーを受けました。適切なエリアでプレーできなかったことで、最後までもつれる展開になってしまいました。また、規律の部分については自分たちの課題です。『故意ではないのではないか』『本当にペナルティだったのか』と見解はいろいろあると思いますが、われわれ自身が成長しなければならない部分もたくさんあります。三重Hさんは素晴らしいパフォーマンスを見せていましたが、トライ数のおかげでボーナスポイントも獲得することができました。アウェイで勝ち点5を手にできた点はポジティブです」

──開幕戦とはメンバーを変更しましたが、想定とは違うものがあったのでしょうか。

「メンバーチェンジは関係ないです。基本的には自分たちがミスをして、ペナルティを与えて、ずっとわれわれの陣内でプレーさせてしまったためです。ただ、その中で良かった点を挙げるとするならば、ディフェンス面です。三重Hさんにあれほどポゼッションされても、トライを与えたのは1回だけでした。ラインアウトも含めて機能していた部分だと思います。我慢強くプレーできたときには、われわれにとってポジティブな結果で終えることができます」

コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン

「今日に向けてのテーマとして、フィジカルの部分と、どれだけスマートに戦えるかという点に集中して準備をしてきました。ただ、序盤から相手のフィジカルやキックゲームに合わせてしまって、自陣で戦う機会が多く、攻撃の時間も短くなって、規律を失って相手に3点を刻まれました。不満が溜まる試合でした。そこで、ハーフタイムに『神戸らしいアタックとは何なのか』という点を確認しました。相手に合わせるのではなく、自分たちで仕掛けていこうと。それによって後半はいいスタートを切ることができました。トライを重ねられた点もそうですが、自陣からの脱出、スクラムからのバックスの判断、キックゲームへの対応でもそうです。それをさらにいい方向へと進めることができていれば、もっと圧倒できたと思います。どれだけチームをコントロールして敵陣に押し込めるかというところは、もう一度試合を見直して改善することが必要です。

ただ、規律の点については課題です。個人的にもシンビンを受けてしまいましたし、前節も含めてペナルティで相手に流れを渡してしまう場面が多いです。一人ひとりの意識を高めて、チームとして意識して改善したいです」

──後半のスタートでトライを重ねられたことが勝利につながりました。具体的にはどのようなポイントで勢いをつかめましたか。

「フェーズを重ねられたことだと思います。前半はゴール前以外で3回以上重ねられることがほとんどありませんでした。雨の影響もあり、ボールが滑りやすい環境の中でキープすることができませんでした。ただ、後半の最初は、キックオフからいいプレッシャーを掛けて、ボールを自分たちのモノにしてから、アンストラクチャーの状況でも自分たちの形を作って、フェーズを重ねることができました。保持するところと一人ひとりが正しいポジションに入って役割を果たすところがうまくできていたと思います」