【リヤド(サウジアラビア)23日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)がプロ初の中…

【リヤド(サウジアラビア)23日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)がプロ初の中東決戦で「世界新」を狙う。

27日に33戦無敗の挑戦者となるWBC世界同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦に備え、到着イベント「グランドアライバル」に登場。現在、世界戦26連勝で元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーらとトップタイに並ぶ。サウジアラビアから指定された挑戦者ピカソ撃破で単独1位となる世界戦27連勝達成を目指す。

  ◇  ◇  ◇

中東決戦へ、井上がリヤドで高揚感を漂わせた。グローバル・シアターで行われた到着イベントのトリとして登場。ホワイトのジャージーにサングラス姿のリラックスしたスタイルだった一方、世界戦を控えた独特の緊張感も交え「雰囲気が違う。サウジアラビアは過ごしやすい。時差(6時間差)もやりやすい。ジムもホテルもきれいで。良いパフォーマンスを出せる。こういうイベントが続くと気持ちも高まってくる」と声をはずませた。

井上は世界戦26連勝中。元世界5階級制覇フロイド・メイウェザー(米国)らと世界トップタイで並んでいる。ピカソに勝てば27連勝の世界記録を更新し、単独1位に躍り出る。さらに先日、米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の垣根を越えた最強ボクサーランク)1位の3階級4団体統一王者テレンス・クロフォード(米国)が引退を表明。現在、PFP3位の井上は「PFP1位になるのにふさわしい試合をしたい」と3度目のPFP1位への意欲。さらにボクシング史に名を刻む記録への意識を持っている。

身長で約9センチ高い173センチのピカソとは、タイミング的に対面できなかった。井上は「今日は会えなかったけど、体格差は日本でも対策を練ってきたので、そのボクシングを展開したい」と淡々と口にした。

昨年11月、興行を運営する「リヤドシーズン」と推定30億円の複数年スポンサー契約を締結した。今回もリヤドシーズン側の熱烈オファーを受けて実現した日本とサウジアラビア国交樹立70周年を記念した一大決戦となる。

「期待してもらっている。期待を超えていきたい。荒々しい強引さではなく、美しいボクシング。楽しみにしてください」

今年4戦目の世界戦。井上は最高潮のボルテージでスタンバイしている。

◆リヤドシーズン サウジアラビア政府の直轄プロジェクトで、首都リヤドで開催される一連の娯楽、文化、スポーツの事業&祭典の総称。サッカーで同国強豪アルナスルにC・ロナウドが加入した後、当時メッシがいたパリSGと親善試合を実施。ボクシングではウシク-フューリー戦となる4団体ヘビー級王座統一戦を行い、井上尚弥がアンバサダーとして3年契約を結んだことで日本でも認知度がアップした。米プロレスWWEや米総合格闘技UFCも定期開催。BTSがライブを実施するなど石油に依存する経済からの脱却を目指し、新産業として「エンタメ」を定着させる狙いがある国家戦略の目玉。