フランス1部モナコは22日、所属する日本代表MF南野拓実(30)が左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂したと公式サイトで発表…
フランス1部モナコは22日、所属する日本代表MF南野拓実(30)が左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂したと公式サイトで発表した。
一般的に全治は8~10カ月と言われており、来年6月に開幕するW杯北中米大会への出場が絶望的な状況に陥った。森保一監督(57)就任後の日本代表で国際Aマッチ71試合と26得点は、ともに最多の大黒柱。10月はゲーム主将としてブラジル初撃破のチーム1点目を挙げ、誰からも慕われる人格者でも知られるアタッカーと、日本に試練が訪れた。
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半年後に迫るW杯へ、本人にとっても、日本代表にとっても悲劇的な診断となった。21日の敵地オセール戦で左膝を痛め、担架で運ばれて退場していた南野の負傷が、左膝の前十字靱帯断裂であることが判明した。モナコは全治を公表していないものの一般的に全治8~10カ月とされ、来年6月に開幕する大舞台での復帰は難しい状況となった。地元フランスを代表するレキップ紙も電子版で「数カ月間の離脱となり、W杯も欠場する見通し」と伝えた。
発表から一夜明け、悲観的な観測が相次ぐ。確実なのは、森保ジャパンに大きな痛手となることだ。3-4-2-1システムにおいて2シャドー(トップ下2枚)の一角として、気の利いたポジショニングと連動性でチームをけん引。卓越した戦術眼で救ってきた。MF遠藤主将の不在時にはキャプテンマークを巻くなど、精神的支柱としても重要な役割を果たしていた。10月のブラジル戦では反撃のチーム1点目で、歴史的逆転初勝利の立役者に。森保J最多の26得点も誇っていた。
今回のW杯に懸ける思いも、人一倍強かった。10番を背負った前回22年のカタール大会。最終予選ではゴール最多も、本戦は調子を崩してレギュラーを外れ、決勝トーナメント1回戦クロアチア戦ではPK戦でキックを失敗した。誰もキッカーに手を挙げなかった中で「じゃあ俺が」と1番手を担ったが、残酷な結果に泣いた。当時「4年後のW杯でリベンジしたい。絶対に選手としてレベルアップして、この場に帰ってくる」と誓っていたのだが…。
その後は一時、代表から遠ざかったが、クラブで調子を取り戻して再び代表のレギュラーに返り咲いた。史上最速突破を決めたW杯アジア最終予選でも存在感を放ち、森保監督からの信頼も厚い。「拓実は日本人の強みを発揮してくれて、試合を決めてくれるようなプレーを示してくれる」と。
過去には、スペイン代表MFシャビが前十字靱帯(じんたい)を痛めてから半年以内に復帰した例もあるが、大抵は「損傷」したケース。今回の南野は「断裂」となり、半年後のメンバー入りは危機的だ。チームは奇跡の復活を祈るが、代えの利かない中心。2列目の代役探しが急務となる。
◆前十字靱帯 膝関節の中にある強靱(きょうじん)な靱帯で、大腿(だいたい)骨と脛骨(けいこつ)を結ぶ。もう1本の後十字靱帯ともクロスしており、痛めると、すねの骨が前方に回旋しながらずれ、運動に支障を来す。損傷ではなく断裂だった場合は、復帰まで1年を要すケースも。