NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第2節(リーグ…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第2節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月20日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 43-25 トヨタヴェルブリッツ
初キャップ、ファーストタッチ、初トライ。『勝負運』と『準備力』で23歳が鮮烈デビュー
東京サントリーサンゴリアスの安田昂平選手。「ランニング能力とトライを取り切る能力は勝負できる部分だと思っています」
初キャップ、ファーストタッチ、初トライ! これ以上ない鮮烈デビューを飾ったのは、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の23歳、安田昂平だ。
12月20日、味の素スタジアムでのトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦、一進一退の攻防が長く続いていた後半33分に投入されるや、そのわずか2分後に勝利を大きく手繰り寄せるトライ! 明治大学をこの春卒業したルーキーがホストゲーム開幕戦でファンに鮮烈アピールを果たした瞬間だった。
このトライを生んだ要因は、安田の『勝負運』と『準備力』にある。そもそも、当初は出場メンバーに入っていなかった安田だったが、試合前日、けが人が出たことで急きょリザーブでの出場機会が巡ってきたのだ。
「『仮想トヨタV』ということで、この1週間の練習では、ずっと相手チームのウイング役を務めていました。急きょのメンバー入りでしたが、相手がどんなラグビーをしてくるのかしっかりインプットして準備できていたのは大きかったと思います。ベンチにいる間はずっと緊張状態でしたけど、みんながつないでくれたボールで最後にトライを決め切れたのは、自分にとっても糧になりました」
準備はこの試合に向けてだけではない。プレシーズンからのアピールもまた、安田抜擢の大きな要因だった。東京SGの小野晃征ヘッドコーチはこう語る。
「安田はプレシーズンからパフォーマンスはすごく良くて、どこかでチャンスは回ってくると期待していました。今回、急きょのメンバー入りでしたが、メンバー外であっても試合に出るマインドをもち続けること。そういう選手ほど活躍してくれます」
鮮烈デビューを果たした安田だが、競争激しい東京SGではこのまま簡単に出続けられるわけではない。ウイングには世界的スターのチェスリン・コルビ、最多トライゲッター経験者の尾崎晟也や江見翔太ら、歴戦の点取り屋たちが名を連ねている。
試合後、尾崎晟也選手(左)と観客の声援に応える安田昂平選手
「ディフェンスでもアタックでも、まだまだ先輩方から学ぶべきことは多いですけど、ランニング能力とトライを取り切る能力は勝負できる部分だと思っています。ここから出続けることが重要なので、アピールできるところでアピールして、日本一に向けて戦い抜きたいです」
昨季の開幕2連敗から一転、今季は開幕2連勝を飾った東京SG。さらなるロケットダッシュへ、頼もしい快足ランナーがまた一人増えた。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(左)、流大バイスキャプテン
東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「チームのホストゲーム開幕戦として、自分たちのファンの前で勝利をしたいという考えで1週間準備してきました。その中で、トヨタヴェルブリッツさんの前半のブレイクダウンのプレッシャーとトランジションのスピードに流れをもっていかれましたが、最終的には流大ゲームキャプテンとリーダー陣を中心に80分間、自分たちのラグビーを信じ切れた戦いになったかなと思います。この勢いをしっかり来週につなげたいと思っています」
──後半に投入した福田健太選手、箸本龍雅選手、安田昂平選手が次々とトライを決めました。交代策が結果につながったことをどう捉えていますか?
「どの選手も、『スタートから出たい』という気持ちはあると思うんです。ただ、『23人で80分の戦い』と考えたときに、最後にグラウンドに立ってゲームをフィニッシュさせることがいかに大事か。先週に引き続き、リザーブにいる8人が点差、時間帯も関係なく自分たちのラグビーを信じ切って、その結果、ラスト20分で28点取ることができたかなと思います」
東京サントリーサンゴリアス
流大バイスキャプテン
「試合前、僕からチームに伝えたメッセージは二つ。一つは、80分必ずかかるゲームになるけど、80分先のことを見ずに、目の前のことに集中しようと。もう一つは、恐れずにアタックしようと。この二つのメッセージを1週間をとおしてチームに伝えてきました。本当にそのとおりになったと思いますし、最後までどちらが勝つかわからないゲームの中、特に"フィニッシャー"がいい仕事をしてくれて、最後にボーナスポイントも取れたので、結果としては満足しています。ただ、シーズンはまだ長いですし、次の試合に向けてしか考えることができないので、週明けからまたいい準備をしたい。それに尽きると思います」
──序盤はフォワードのペナルティも多かったと思います。そのあとに何か修正を施したのか、自然と相手の圧力が変わったのか、どちらでしょうか?
「相手の圧力、フィジカルによって少し受け身になったときに、自分たちのディフェンスのセットスピードが遅くなってしまうことが多かったので、ハーフタイムにそこを修正しようという話をしました。自分たちでコントロールできるペナルティは必ずコントロールすること、レフリーに必ずアジャストすることは選手たちにも伝えました。ゲーム中に修正が必要になることは必ず起きることですので、いかにアジャストしていくか、という部分は今後に向けても大事かなと思います」
トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ(左)、姫野和樹キャプテン
トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「今日の試合内容は、非常にいいパフォーマンスでしたが、最後は勝利を手にすることができませんでした。選手たちは後半最初の20分までは粘り強く戦い、すごく前向きに努力する姿勢を見せてくれました。しかし、そのあとの試合の流れではコントロールを失ってしまう展開となり、最終的に得点で相手チームが上回った、というところです。チームにとっては非常に前向きな学びもあったので、そこを成長につなげて、最後の20分間のところを今後改善していきたいです」
──その最後の20分を勝ち切るために、何が必要でしょうか?
「今日の試合の60分までは試合に勝てる地点にいたはずですが、無意識の中でチームとしてはアタックスタイルをやめてしまい、雑にプレーしてしまったり、キックを不必要に蹴ってしまったり、仕掛ける姿勢が消極的になっていたことが見えてしまいました。
チームとしては、相手を尊敬しても、プレーをやめることはあってはなりません。私たち自身、実力は十分であると思っていますが、今日のような強敵を相手にする際にはプレーし続けること、仕掛け続けること、相手選手に対して待たないこと……といった意識とともに、相手に主導権を握らせないことが、この試合から得られたチームとしての大きな学びだと考えています。
そういったことをこの席で話すのは非常に簡単なことではあるのですが、チームとしてはまだ若手選手が多く、こういったビッグチームとの対戦、そこでの成功体験といった経験がまだ十分ではない選手もいます。そんな状況でも、自分たちのプロセス、プレーを信じて、それを継続する。そういったところが修正点として今後必要になると思っています」
トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹キャプテン
「非常に残念です。勝てたゲームだったと思いますし、悔しい思いがあります。この敗戦からしっかりと自分たちは学ばなきゃいけないと思っています。若い選手もたくさんいる中で、彼らにとってもいい学びとなったはずですし、今後このチームがまた成長できたと思えるように、次の試合に向けて準備していきたいです」
──70分まではディフェンスでも非常に粘っていました。そこから先、逆転された場面ではゴール前の守備の印象が変わったように見えました。
「仰るとおり、そこに関してはまだ若い選手もたくさんいましたし、ちょっと焦りが出てしまったのだと思います。いかにマインドセットするか。逆転されても、まだゲームとして終わっていない中で、自分たちでどうにかしなきゃいけないという気持ちが一人ひとりではまだ薄かったのかなと感じます。そこでコネクションを失ってしまったと思うので、もうちょっと冷静に、自分たちのプレーにフォーカスしてやるべきだったかなと思います」