■齋藤、翁長、神代らは選考外に 2025年のJ2リーグは、水戸ホーリーホックとV・ファーレン長崎のJ1リーグ自動昇格、そ…
■齋藤、翁長、神代らは選考外に
2025年のJ2リーグは、水戸ホーリーホックとV・ファーレン長崎のJ1リーグ自動昇格、それにジェフユナイテッド千葉のプレーオフ優勝による17年ぶりのJ1復帰で幕を閉じた。今シーズン最後の『J2のミカタ』では、恒例となっているベストイレブン+控え選手8人と監督を選定する。
選考基準として、出場試合数、プレータイムのいずれも半分以上であることとした。具体的には19試合以上、1710分以上、ということになる。
この基準によって、MF齋藤俊輔(水戸)、MF翁長聖(長崎)、CB河野貴志(千葉)、MFアルトゥール・シルバ(RB大宮アルディージャ)、MF横山夢樹(FC今治)、FW神代慶人(ロアッソ熊本)らは選考外となる。
なかでも齋藤は、チーム2位の8ゴールをマークして昇格に大きく貢献した。Jリーグ選定の月間ベストゴールを3度受賞するなど、印象的な得点も記録している。
18歳の神代はJ3降格となった熊本で、8得点を記録した。20日にはドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトへの完全移籍が発表された。
MFイサカ・ゼインは、シーズン通算のスタッツではどちらの条件もクリアする。ただ、現所属の千葉での数字は届かない。彼も選考外とした。
こうした選手を候補から外すことに、異論があるのは承知だ。ただ、彼ら以外にもベストイレブンにふさわしい選手がいるのも、また事実だろう。
シーズン途中で別のカテゴリーへ移籍した選手も、対象外とした。22試合出場で10ゴールのFW小松蓮(ブラウブリッツ秋田からヴィッセル神戸へ移籍)、同じく22試合出場で8得点のFW谷村海那(いわきFCから横浜F・マリノスへ移籍)、在籍時の出場でリーグトップタイのアシストを記録したMFジョルディ・クルークス(ジュビロ磐田から横浜F・マリノスへ移籍)らが、そうした選手である。
なお、システムは水戸、千葉、ジュビロ磐田、RB大宮、ベガルタ仙台などの上位チームが主戦術とした4バックを選んだ(RB大宮は宮沢悠生監督の就任後に4バックがメインに)。
■両SBは水戸の大森と飯田に
【GK】田中颯(徳島ヴォルティス)38試合出場、プレータイム3420分
リーグトップ6のレギュラーGKで、全試合フルタイム出場は田中だけ。失点24は2位を大きく引き離してのリーグ最少。クリーンシートは全試合の半分にあたる19試合を数えた。高さと強さを兼備した3バックも評価されるが、田中も勝点奪取につながる好セーブを見せている。ベストイレブンにふさわしいプレーを見せた。
【CB】市原吏音(RB大宮アルディージャ)29試合出場、2565分
29試合の出場にとどまったのは、U-20日本代表の活動に参加したため。ブラジル人CBガブリエウが離脱した8月以降は、ディフェンスリーダーの性格をさらに強めて守備を統率した。彼が触っていなければ失点を覚悟した、というクロスを何度となくクリアした。左右両足を駆使し、ボールの軌道と長短を使い分けるビルドアップは、J1のCBにも見劣りしない。プロ2年目の20歳とは思えないほどに堂々と、冷静に、落ち着いてプレーしている。
【CB】山田奈央(徳島ヴォルティス)35試合出場、3001分
リーグ最少失点を記録した徳島で、水戸ホーリーホックから移籍1年目で3バック中央を任された。カバーリング能力に長けており、守備範囲が広い。カウンターを浴びた局面でしばしば相手のクロスやシュートをブロックした。ゴール、アシストは記録していないものの、攻撃面での貢献度が低いわけではない。左右両足から繰り出すフィードで、局面を変えることもできる。
【右SB】飯田貴敬(水戸ホーリーホック)37試合出場、3329分
攻守両面で高い安定感を示した。適切なタイミングで攻撃に関わり、チーム2位タイの5アシストを記録。守備でもスキのない対応で、失点がリーグ最少2位タイの堅守を形作った。31歳のベテランが担う右サイドは、攻撃も守備も安心して見ることができていた。
【左SB】大森渚生(水戸ホーリーホック)38試合出場、3420分
J2優勝のチームで、ただひとり全試合フルタイム出場を記録。左足のキック精度に定評があり、ビルドアップやアーリークロスなどでチャンスメイクをしつつ、リスタートのキッカーとしても機能した。右SB飯田と大森をセットで獲得したことで、水戸の攻撃は左右どちらとも相手の脅威となった。初のJ1昇格に不可欠なピースだった。
【ボランチ】山口蛍(V・ファーレン長崎)32試合出場、2710分
ヴィッセル神戸から加入した元日本代表は、ゲームコントローラーとしてチーム全体を方向づける働きを見せた。自分たちがボールを握る試合が多いなかで、3列目から敵陣深くまで飛び出してフィニッシュに絡む動きは、対戦相手にとって厄介だった。自身が決めた3つのゴールは、いずれも勝点奪取につながる貴重なものである。
【ボランチ】高嶺朋樹(北海道コンサドーレ札幌)35試合、3115分
1年でのJ1復帰を目ざしたチームは、スタートダッシュに失敗して昇格圏へ浮上することなく12位でシーズンを終えた。ベルギーから古巣に帰還した高嶺は主将を任され、本来のボランチに加えて左SBなどでもプレー。そのユーティリティ性でもチームを支えた。チームトップのプレータイムを弾き出し、チーム唯一にしてキャリアハイとなる2ケタ得点(10ゴール)を記録。高いプレー強度で守備でも貢献した。