村上宗隆内野手(25)のホワイトソックス入りの背景には、メジャー各球団のシビアな分析と、将来的な視点を持つ村上側の思惑が…

村上宗隆内野手(25)のホワイトソックス入りの背景には、メジャー各球団のシビアな分析と、将来的な視点を持つ村上側の思惑が見え隠れしていた。ポスティング申請直後、米国内では総額1億ドル(約155億円)前後の大型契約を予想する声も聞かれた。NPBの年間最多本塁打記録を持つ村上のパワーは、23年WBCでも実証済みであり、メジャーでもトップクラスと認識されてきた。

その一方で、直接視察したスカウトら編成担当の間では、守備力と空振り率を懸念する声も少なくなかった。MLBの場合、年々、打球の速度が上がっている事情もあり、各球団は三塁手より一塁手またはDH候補として調査を進めるなど、総合的な評価は分かれる傾向が見られていた。その結果、一塁手の補強を進める球団に絞られ、最終的にホ軍と交渉がまとまったものとみられる。

長期契約のオファーがあったとの情報もあるが、最終的に2年契約に落ち着いたことは、ホ軍、村上の双方に好材料だったのではないだろうか。今季まで3年連続100敗を喫したホ軍は、若手を積極的に起用しつつ、来季以降へチーム再建を進めるまっただ中。同じシカゴを本拠地とする人気球団カブスとは一線を画し、ファンやメディアの許容範囲も異なる。得点源として期待される一方、デビュー後、メジャーの適応するための時間にしても、ある程度の柔軟性を保つことが可能なチーム状況でもある。万が一、故障など不測の事態に見舞われたとしても、リスクが抑えられる利点もある。

安定したプレー機会が得られそうな村上にとっても、今後の2年間でメジャーの快速球投手に対応し、持ち前の長打力を発揮できれば、2年後に再びFA市場の上位ランクで新天地を探すこともイメージできる。今後、守備力を含め、徐々に課題を解消していけば、27歳の時点で超大型契約を手にする可能性は十分。金額などの条件面だけでなく、プレー機会を含め、チームの環境面を重要視した選択だったに違いない。【MLB担当=四竈衛】