「デジタル野球教室」にスペシャルコーチとして参加 元巨人のエースが、指名打者(DH)制に反対の姿勢を示した。ライブリッツ…
「デジタル野球教室」にスペシャルコーチとして参加
元巨人のエースが、指名打者(DH)制に反対の姿勢を示した。ライブリッツ株式会社が主催する「デジタル野球教室」が21日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、今季まで巨人2軍監督を務め、来季からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任する桑田真澄氏がスペシャルコーチとして参加。硬式野球クラブに所属する中学生30人にさまざまな助言を送った。
イベント終了後の囲み取材。野球界の話題の最中、個人的な意見として自ら「DH、僕は反対ですね」と切り出した。「僕も打席に立って、気づきがあったんです。内角に投げられたあとに外角に投げられたら、あんなに遠くに見えるのかとか、外の変化球の後に内に直球がきたらこんな速く感じるのかとか、そういう学びが投手になくなるのは、僕はマイナスだと思います」。
PL学園時代は甲子園で通算20勝を挙げるとともに6本塁打を記録。プロでも代打で安打をマークするなど通算打率.216、7本塁打と投手とは思えない成績を残した。プロの投手としては決して大きいと言えない身長174センチの体で、投げるだけでなく打席でも見せていた存在感。走攻守に躍動した経験をもとに、打席での学びの大切さを強調した。
プロ野球はすでにパ・リーグがDH制を導入しており、2027年からはセ・リーグでの導入も決まっている。東京六大学リーグも来春のリーグ戦から、高校野球も来春の選抜甲子園大会から導入が決まっており、打撃特化型の選手を生かすDH制の採用は、野球界の流れとなっている。
桑田氏はもう1つ反対の理由を挙げた。「投手が無責任になると思うんですよ。打者に当てたって、(DH制だと)当て返されることはない。どんどん打者に対して無責任な投球をすると思います」。現役時代の打席を思い返しながら「故意に当てるとかは当然ない」と強調するも、死球を与えると報復につながるケースもあるだけに「『ここは絶対に当てちゃいけない』と集中して内角に投げていました」と振り返った。
7回制の議論に言及「野球は9回までやるのが面白いと思う」
DH制が導入され、投手が打席に立たなくなると「当てたっていいや、打席に立たないし」ということが起こる懸念があるという。「僕はぜひ、DHは……」と言いかけたところで言葉を区切り「個人的な意見ですよ」と念を押した。
高校野球で7回制の議論が進むなど、世界的にも7回制採用の動きがあることにも言及。「僕は野球は9回までやるのが面白いと思うんですよね」。巨人時代に通算173勝を挙げ、118完投をマークするなど9回トータルで考えて投げていた右腕だけに、イニングの短縮には抵抗があるようだ。
そんな中で「球数制限、登板間隔を導入していくと、投げられる投手が複数いないと試合が成立しない」という問題が発生する。「僕は個人的には9回でやってほしい」と9回制の継続を支持し「球数を減らすために、投手はコントロールを磨いてほしい」と訴えた。
ルールが変わる時は、多くの異なる意見が出るのは当然のこと。それぞれ、理解できる部分はある。野球界の発展のため、少しでも多くの人が納得できるシステムになってほしいところだ。(尾辻剛 / Go Otsuji)