「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、国立代々木体育館) ミラノ・コルティナ五輪の最終選考会として女子フリーが…

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、国立代々木体育館)

 ミラノ・コルティナ五輪の最終選考会として女子フリーが行われた。世界選手権銅メダルでSP4位の千葉百音(20)=木下グループ=が、フリー141・64点の合計216・24点をマークし3位となった。選考上のライバルとみられていた渡辺倫果を上回り、表彰台が確定。自身初の五輪代表入りへ前進した。

 冒頭から3回転フリップ-3回転トーループをさせると、重圧の中で落ち着いてジャンプを決めていき、美しい演技で観客を魅了。演技後は笑顔が浮かんだ。

 「ファイナルからやるべきことをやってきた。それが全て出せてうれしい。できる!と言い聞かせた」とうなずき、「ファイナル後は心に亀裂が入ったような気持ちになってしまっていた。濃くてしんどくて、なんとか乗り切った2週間だった」と振り返った。

 宮城県仙台市出身の20歳。4歳からスケートを始め、23年まで五輪2連覇王者の羽生結弦さんと同じアイスリンク仙台を拠点に育ってきた。連続ジャンプなど安定感抜群の演技を武器に、今季は女子で唯一のGPシリーズ2連勝。ただ12月のファイナルのフリーでは、2度転倒するなど珍しく崩れて5位に沈み、五輪代表選考レースから後退した。

 「悔しさに浸っているのは甘え。弱さを受け止めるべき」。大会後は強い言葉で自分を戒め、涙はすぐに拭いた。迎えた今回の全日本選手権。五輪代表3枠目を確実にするため失敗が許されない中、19日のSPではミスを最小限に抑えて4位に付けた。

 キスアンドクライに飾られる各選手の決意を書き込むバックボードには「雨降って地固まる」と記した。「悔しい結果のまま、自分(の気持ち)が落ちてしまったら何の糧にもならないので」。この日のフリーでは、会心の演技で銀盤を舞って観客を魅了した。GPファイナルでぬれた頰を強さに変え、千葉が五輪切符をたぐり寄せた。