大相撲の冬巡業は21日、埼玉・新座市で22日連続開催の最終日を行った。65歳の定年までに任期の2年を切るため、来年初場所…

大相撲の冬巡業は21日、埼玉・新座市で22日連続開催の最終日を行った。65歳の定年までに任期の2年を切るため、来年初場所後の理事選に出馬できない境川巡業部長(63=元小結両国)は、この日の巡業が、巡業部長として最後となった。子どもがけがすることを懸念し、一時は行われていなかった、関取衆による子どもの稽古を、24年春に巡業部長に就任後に再開。自ら全会場で土俵下から見守り「オレが責任を取る」とのおとこ気が、巡業を盛り上げ、各地で完売するなど多大な功績を残した。

そんな約2年間を振り返り「どこに行っても、お客さんがいっぱいが来てくれて、それは『ありがたい』の一言に尽きますよ」と、笑顔で話した。子どもの稽古再開については「オレがOKを出した以上ね。(巡業開催の)売り込みを親方衆がやる時も、どこに行っても、これ(子どもの稽古)を頼まれてね。ましてや、普及活動に一環だしね。ありがたいよね。子どもが(相撲を)やってくれるのが何よりだから」と、晴れやかな表情で話した。

今回の巡業については「無事に終わったね。当初はインフルエンザとかも出たけど、増えないように『注意してくれ』と、うるさく言ってきたから」と、無事に終えたことにホッとした様子だった。両横綱の一角、大の里が全休となったが、一人横綱として連日、土俵入りも取組もこなした豊昇龍については「やれる時は、関取衆をつかまえて、よくやっていた。最後の方は(左)膝に違和感があって無理はさせなかった」と、朝稽古でも精力的に汗を流した姿を高く評価した。

現在では、巡業開催を望む地方自治体が後を絶たない状況となったいる。境川部長は「そういう要望があるように(日本相撲)協会サイドは常に、頑張ってやらないと」と、現状にあぐらをかかず、より良い巡業開催を目指すべきと提言した。年々、力士数が減少する中で、角界内外で「漢(おとこ)境川」と称される同部長がまいた、相撲普及の種は、数年後、十数年後、きっと花開く日が訪れるだろう。【高田文太】