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12月20日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われたB1第15節GAME1。アルバルク東京(東地区5位)が、勢いに乗るレバンガ北海道(同2位)を81−59で下し、相手の連勝を「12」で止めた。この一戦で安藤周人がBリーグ史上7人目となる通算900本の3ポイントシュート成功を達成。加えて、小酒部泰暉との連携による徹底したディフェンスが、勝利を大きく手繰り寄せた。
この日の最大の焦点は、北海道の得点源であり、驚異的なシュート力を誇る富永啓生への対策だった。A東京は小酒部泰暉がスタートから、安藤がベンチから代わる代わる富永に密着し、一瞬の隙も与えなかった。結果として、富永がこの試合で3ポイントを1本も決められなかったが、そもそも打てた3ポイントも3本のみ。ここまで1試合平均約7本も長距離砲を放っていたスナイパーに思い通りに仕事をさせなかったことが大きかったと言えるだろう。
「今日は小酒部が、啓生が嫌がるようなフィジカルなディフェンスをずっと続けてくれた。その流れを僕が壊すわけにはいかないので、より強度を上げて戦いました。とにかく気持ちよく3ポイントを打たせないことを徹底しました。ファウルをうまく使いながらリズムをつかませなかったことが良かったです」
守備で貢献を続けていた安藤に歓喜の瞬間が訪れたのは、第3クォーター残り4分19秒。この日4本目となる3ポイントを沈め、ついに大台の「通算900本」に到達した。
試合後のメディア対応で、安藤は記録について「全然意識していなかったのですが、朝、記事を見て『あと1本なんだ』と知りました。だから逆に意識してしまって(笑)」と苦笑い。そして、周囲への感謝を強調した。
「1人で取った900本ではありません。自分にスクリーンをかけてくれるビッグマン、パスをくれるポイントガード、本当にみんなのおかげで積み重ねられた記録です。今は自分のタッチもすごくいいですし、オフシーズンに取り組んできたことが正解だったと感じています」
また、通算記録で首位を走る富樫勇樹(千葉ジェッツ)は1200本もの3ポイントを決めている。「勇樹さんに早く追いつけるように、もっともっと確率良く決めていきたい」と、さらなる高みを見据えた。
北海道の12連勝を止めたA東京だが、開幕からなかなか波に乗れず。日本代表戦による中断期間を挟んで、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、佐賀バルーナーズに4連敗を喫した。安藤は、この苦い経験が今のチームの糧になっていると語る。
「名古屋、佐賀で4連敗したときの雰囲気は最悪でした。でも、そこから全員が『ここで切れてはダメだ』と学んだことが、今の4連勝につながっています。誰か一人が頑張るのではなく、全員で戦う姿勢が今のアルバルクの形です」
今シーズンから本拠地となったTOYOTA ARENA TOKYOについては、「練習と同じ感覚で試合に入れるのは精神的に大きい」とコメント。これまでは試合会場が一定しなかったので、会場に向かう際に「この時間はあそこが渋滞するから早めに出ないといけない」と気をもむこともあったという。しかし、今はその心配はない。さらに「ファンの声が本当によく響きます。本当にありがたいです。このアリーナを作ってくれた方々、そして応援してくれる方々のために、これからも勝利を届けていきたい」と、新アリーナでのさらなる飛躍を誓った。
文=入江美紀雄
【動画】A東京の安藤周人が通算900本目の3ポイントを成功させる