昨夏主将として花巻東高女子野球部を全国大会準優勝に導いた佐々木秋羽 女子硬式野球の「共立メンテナンス presents …

昨夏主将として花巻東高女子野球部を全国大会準優勝に導いた佐々木秋羽

 女子硬式野球の「共立メンテナンス presents 女子野球Gタウン杯」が20日、ジャイアンツタウンスタジアムで初開催され、巨人女子チーム、埼玉西武ライオンズ・レディース、エイジェック女子硬式野球部の強豪3チームが参加。総当たり計3試合を行い、10月のドラフト会議でソフトバンクから1位指名された米スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手の妹で、巨人女子の19歳ルーキー・佐々木秋羽(しゅう)内野手が躍動した。

 スタンドでは帰国中の兄・麟太郎と、父の花巻東高・佐々木洋監督が見守っていた。多忙な兄と父に試合を見てもらえる機会は、極めてレアだ。第1試合の西武レディース戦。佐々木は6回無死満塁の絶好機に代打で起用されるも、あえなく空振り三振に倒れる。巨人女子を率いる宮本和知監督は「第1試合が終わった時にたまたま麟太郎くんと顔を合わせて、『(妹が三振して)すいません』と謝られましたよ」と明かした。

 ただし、これだけでは終わらない。そのまま8番の打順に入った佐々木は、続く7回にも2死満塁で左打席に立ち、弱い当たりの遊ゴロを放ったが、自慢の俊足を飛ばしてタイムリー内野安打をもぎ取ったのだ。

 第3試合のエイジェック戦では「9番・一塁」でスタメン起用されたが、三邪飛、一直に打ち取られ、7回の打席では代打を送られてベンチに退いた。

 花巻東高女子硬式野球部3年で主将を務めた昨夏、チームを甲子園球場で行われた全国高校女子硬式野球選手権大会・決勝に導いた。巨人女子ではまだ線の細さが否めない19歳を、宮本監督は「伸びしろのある選手です。練習では麟太郎くんをほうふつさせるスイングをするのですが、試合になるとなかなかバットが出てきません。彼女の一番の課題は守備。いろいろなポジションを守れますが、もう少しレベルを上げてほしいですね」と評する。

父の花巻東高・洋監督は「課題が見えた」「練習させます」

 現時点で最大の武器は足だが、佐々木は「ランナーがいる大事な場面でホームランを打てるバッターになりたいです」とスラッガーとしての将来を思い描いている。「(ドジャースの)大谷翔平選手もそうですが、足が速くて長打も打てる選手は魅力があります」と花巻東高の大先輩の名前を口にした。

 一方で、尊敬する人物には巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(ヤンキースGM特別アドバイザー)の名前を挙げている。昨年9月、「高校野球女子選抜」の一員として、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)や松井氏を擁する「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」と対戦。「松井さんのプレーを間近で見せていただき、少しお話もさせていただいて、人間性も素晴らしかったので憧れています」と振り返る。

「私が足を怪我をされていた松井さんの前へセーフティバントをしようとした時、やさしい口調で『セーフティ、やらないで〜』と言われました」といたずらっぽく笑った。巨人女子でも、松井氏の代名詞である背番号「55」を志願して付けている。

 ところで、佐々木のプレーを見守った洋監督は「課題が見えました。年末に花巻に帰ってくるので、練習させます」とコメントを残した。佐々木自身も「課題はたくさんあって、特にスイングの形ができていないと自分でも感じています。父にも練習を見てもらいたいと思っていました。実際に試合を見てもらえたので、アドバイスしやすいかもしれませんね」と望むところだ。

 父、兄、妹はそれぞれ、道は違えど、いずれも高レベルでユニークで魅力的な野球人生を歩んでいる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)