21日に京都市である全国高校駅伝で初めて、選手として出場経験のある女性白バイ隊員がレースを誘導する。 過去3度の優勝経…

 21日に京都市である全国高校駅伝で初めて、選手として出場経験のある女性白バイ隊員がレースを誘導する。

 過去3度の優勝経験がある京都・立命館宇治出身で、京都府警交通機動隊に所属する寸田桜さん(26)だ。この日を目標に警察官としての日々を歩んできた。

 全国高校駅伝では毎年、男子レースで男性隊員2人、女子レースで女性隊員2人が白バイで選手を先導する。

 府警によると、都大路を走ったランナーが後に白バイ誘導を担うのは男女通じて初めてのことだという。

 今月初旬に抜擢(ばってき)されたことを知った寸田さんは「志望動機だった目標がかなってとてもうれしかった」。

 高校3年生だった2016年に3区を走った。5位でたすきを受けると、区間29位と思うような力を出せずに順位を落とした。「悔いが残った。自分のなかでいい思い出ではないのが正直なところです」

 3年間支えてくれた人たちを喜ばせたい、という思いが残ったままだった。大学を経て警察官になり、再び都大路をめざした。

 「駅伝ではできなかったけれど、白バイ隊員になることで先生方や家族に恩返しができたら」。そんな思いがあった。

 1年目は交番勤務をしながら、白バイに乗るための免許を取りに自費で運転教習場に通った。昨年から交通機動隊に所属。訓練が始まったころは、約300キロの白バイを起こせず、他の隊員に置いていかれていた。

 でも、「人より時間がかかってもめげないのが自分」。スランプもあった高校生活で養われたメンタリティーだった。

 白バイ誘導が決まってすぐ、母校を現在も指導する荻野由信・総監督に報告した。電話口の総監督の声はいつもよりワントーン高く感じた。「喜んでいる顔が頭に浮かんで、がんばってよかったと思った」

 荻野総監督は寸田さんの高校時代を振り返り、「何事もコツコツと頑張る選手だった。こんな形で戻ってくるなんて、涙が出るほどうれしいこと」と相好を崩す。

 今年の立命館宇治は、2年前の大会で3区区間賞を獲得したエースの芦田和佳(のどか)(3年)を擁する。1区を走る芦田は「寸田さんのすぐ後ろを走りたい」と意気込む。

 大会の警備には、白バイ隊員だけでなく、多くの警察官が携わる。寸田さんは警察官になって改めて、レースができるありがたみを感じたという。

 その最前線を白バイで走りながら、背後を走るすべての選手に対して、願う。

 「これまでの成果が出せるように頑張ってほしい」(平田瑛美)