「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、国立代々木競技場) 男子フリーが行われ、2022年北京五輪銀メダリストで…

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、国立代々木競技場)

 男子フリーが行われ、2022年北京五輪銀メダリストで、ショートプログラム(SP)首位の鍵山優真(22)=オリエンタルバイオ・中京大=が大会2連覇で2大会連続五輪代表に決定した。2位に佐藤駿(エームサービス・明大)、3位に三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)が入り、五輪代表入りを濃厚とした。ペアのSPは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が首位に立った。アイスダンスのリズムダンス(RD)は吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)がトップ。21日は女子、ペア、アイスダンスのフリーを実施し、全4種目の代表が発表される。

 五輪切符はがっちりと手中に収めた。鍵山が2連覇で五輪代表入り。それでも、納得のいかない演技には悔し涙を流した。「率直に言うとまだまだ弱い。この試合は通過点。オリンピックでは悔いのないようにしたい」。22歳が目指す境地は、ミラノにこそある。

 リンクのど真ん中を勢いよく滑り出した。4回転サルコー、4回転トーループはGOE(出来栄え点)4点超えの完璧な出来。ただ、他のジャンプは転倒するなどのミスもあり「情けない姿を見せてしまった」と苦い表情を浮かべた。

 親子での全日本連覇を達成。リンクサイドでいつものように見守った父・正和コーチは愛息が目の前で結果を残したことに「キスクラでは父親目線で見ちゃいましたね」と優しく笑った。同じ道をたどってきたからこそ、悔しさも分かる。「今日はねぎらいの言葉だけ。良いクリスマスと正月を迎えたい」。愛情深く包み、ともに歩む。

 4年前と立場が違うことは自覚している。羽生結弦さんら先輩の背中を追い「五輪に出る」ことが目標だった北京五輪。しかし、エースと呼ばれる今は「信頼されるスケーターになりたい。後輩たちに負けていられない」と、先頭に立って日の丸を背負う覚悟がにじんだ。

 「オリンピックは夢みたいな舞台。全力を尽くして後悔がないように。自分が持っている全てを出し切れるように」。悲願の五輪金メダルへ。鍵山優真の新たな物語がここから始まる。

 ◇鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年5月5日、横浜市出身。星槎国際横浜高を経て、中京大に在学中。20年冬季ユース五輪王者。22年北京五輪で個人、団体ともに銀メダルを獲得した。全日本選手権を24、25年に連覇。世界選手権は21、22、24年に2位。GPファイナルは24、25年に2位。五輪2度出場の父・正和氏と14年ソチ五輪女子銅メダルのカロリナ・コストナーさん(イタリア)に師事する。160センチ。