<プロボクシング:全日本新人王決勝>◇20日◇東京・後楽園ホールライト級で、東軍代表となる空手出身の高校生ボクサー出畑力…

<プロボクシング:全日本新人王決勝>◇20日◇東京・後楽園ホール

ライト級で、東軍代表となる空手出身の高校生ボクサー出畑力太郎(18=マナベ)がダウンの応酬の末に制し、最優秀選手(MVP)に選ばれた。決勝で守屋龍之介(24=KWORLD3)と拳を交え、1回にダウンを許した後、2回に計2度ダウンを奪い返し、同回2分35秒、逆転のTKO勝利を挙げた。なお敢闘賞はスーパーバンタム級の市原涼(23=黒潮)、技能賞はフェザー級の謝花海光(20=M・T)がそれぞれ受賞した。

試合開始直後の守屋の猛攻にも冷静に対応した出畑はカウンターを狙って互角の勝負を展開。続く2回、コーナーに追い込まれて右ストレートでキャリア初ダウンを喫した。ここで焦らない。出畑は「人生初ダウン。冷静にやることを課題にしてきた。相手が大振りで(倒しに)くるだろうからカウンターを狙った。パンチは振り抜かないと効かないので」と左フックからの右アッパーでダウンを奪い返した。打ち合いの展開で右ストレートでダウンを追加すると、そのままレフェリーストップとなった。

4歳の時、事故のために42歳で亡くなった母ひろみさんに向け、出畑は「天国の母ちゃんに感謝したい。あんまり(思い出を)覚えていないけれど、今日も仏壇に報告してから来た」と笑顔。正道会館の師範を務める父力也氏のもとで6歳から空手を始めた、人気アニメ映画「あしたのジョー」のDVDをみて高校1年からボクシングに転向。出畑は「男手一つで14年間、面倒みてくれて1番近くで見てくれた父ちゃん、応援してくれたみなさんに感謝したい」とあいさつした。

現在、通信制の高校3年。順調にいけば、来春には卒業し、プロボクサーに専念する。新人王獲得で来年には日本ランキング入りする。出畑は「父からも『まだまだだな』と言われました。ユース王座もお話があればやるし、どんな試合でも1戦1戦やっていきたい。全部伸ばしていきたい。一流は全部できると思うので」と決意を新たにしていた。