「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、国立代々木競技場) ペアのショートプログラム(SP)が行われ、2大会連続…

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、国立代々木競技場)

 ペアのショートプログラム(SP)が行われ、2大会連続五輪出場が確実な状況の世界王者・三浦璃来(24)、木原龍一(33)=木下グループ=組は、三浦が直前に左肩を脱臼するアクシデントもあったが、執念の演技で自己ベストを大幅に上回り、ISU非公認大会のため、参考記録ながら世界歴代最高得点(84・41点)も上回る84・91点をマークし、首位発進を決めた。

 12月上旬のGPファイナルも制した五輪金メダル候補をまさかのアクシデントが襲った。6分間練習のスロールッツにいく直前に三浦が躓いた際に左肩を脱臼。木原が心配そうに駆け寄り、険しい表情で引き上げた。その後、トレーナーに肩を戻してもらい、演技に挑んだ。

 冒頭のトリプルツイストリフト、続く3回転トーループ、リフトも力強く成功させ、スロー3回転ルッツもなんとかこらえた。スパイラルも含め、しっかりと演技しきった。演技後、三浦は左肩を押さえて、涙した。

 得点が発表されると、思わぬ高得点に三浦は「なんで?」と驚きの表情でつぶやいていた。

 木原は三浦のアクシデントを「心臓が止まるかと思いました。瞬時に対応できなかったんですけど、2人とも脱臼の経験があったので、どうやったらできるか強く言い続けた」と振り返った。三浦は「最初のポーズにつく直前まで怪我をしたことにフォーカスするな、エレメンツごとに集中して1つ1つを考えなさいと。終わった直後は申し訳ないなっていう気持ちだった。(肩が)外れなくてよかったという涙だった」と語った。

 五輪本番まで2カ月半となる中で、フリーも難しい演技を強いられることになる。三浦は「腕が不安定な状態。とにかく肩の状態をこれ以上悪くしないこと」、木原も「怪我なく終えたい」と、見据えた。