WBC の開幕を控え、韓国代表チームの選考結果を巡る論争が激化している。韓国メディア「スポーツ朝鮮」によると、リーグ屈指…

WBC の開幕を控え、韓国代表チームの選考結果を巡る論争が激化している。韓国メディア「スポーツ朝鮮」によると、リーグ屈指の左腕として知られるク・チャンモ(具 昌模)投手について、所属球団 NC ダイノスが今回の代表合流を拒否したことが議論の的となっている。この左腕投手は、これまで度重なる故障離脱を繰り返してきた経緯があり、戦線離脱を余儀なくされるケースも多かった。 同紙は、彼が軍服務を終えた後も肘の異常により復帰が遅れた点に触れ、今回の選考過程で所属球団側が選手のコンディション管理を理由に難色を示したと報じている。KBO 側は最後まで彼の合流を打診したものの、球団側の意志が固く、招集は見送られたと明かした。

 同紙は、「結局、この問題の核心は兵役特典だ」と断じている。兵役免除がかかったアジア大会の前には、痛みをこらえてでも出場させようとしていた球団が、特典のない WBC に対しては「選手の体調不良」を理由に参加を拒んでいる点だ。実際、この投手は杭州アジア大会の前、体調が万全でない中で「ショーケース」まで行い出場への強い意欲を見せたが、最終的に選出されず、直後に現役兵として入隊した経緯がある。

 こうした球団や選手側の「兵役利己主義」は、今回の事例に限ったことではない。記事によると、兵役免除がかかった五輪やアジア大会には死に物狂いで出場させようとする一方で、それ以外の大会については、手当などの特典がないことを理由に「なぜ出場しなければならないのか」といった不満が噴出し始めているという。

 実際、メジャーで活躍したチュ・シンス(秋信守)の事例も挙げられた。チュ・シンスは 2010年の広州アジア大会に出場するため並々ならぬ努力を傾け、その結果として兵役免除の特典を手にした。しかし、その後は自身の個人事情を理由に代表入りを拒否し続け、ファンや現場から批判を受けているという。

 秋信守だけでなく、多くの球団や選手が兵役免除のかかったアジア大会にのみ死力を尽くし、他の代表戦には無関心な態度を見せている。記事は、今回のチェコや日本との強化試合に対しても、球団や選手を保有するエージェントたちが「なぜシーズン終了直後に無理に代表戦を行うのか」と声を荒らげている現状を伝えている。

 一連の報道は、次のように締めくくられている。「それでも選手たちは、不満を表に出すことすらできない。国家代表を真に大切に思う選手もいるが、今回のプロセスを疎かにすれば、2026 年のアイチ・ナゴヤアジア大会の代表に選出されないことを分かっているからだ」と、兵役問題と代表選考が密接に絡み合う韓国野球の苦い現実を指摘している。この問題は、韓国野球が国際舞台でさらなる飛躍を目指す上で、避けては通れない課題と言えそうだ。