G大阪や広島などで活躍し、現在J3金沢所属のブラジル人FWパトリック(38)の長男で中学2年のフェリペ(14)が、父の在…

G大阪や広島などで活躍し、現在J3金沢所属のブラジル人FWパトリック(38)の長男で中学2年のフェリペ(14)が、父の在籍する金沢のU-15を退団し、G大阪の下部組織に3年ぶりに復帰する方向になったことが19日、分かった。堂安律らを輩出した古巣の名門クラブでプロへの道を本格的に進むためで、父も熱望する日本国籍を取得できた場合、日本代表入りへ後押しする環境になる。

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Jリーグ在籍通算13年のパトリックは、187センチの高さと屈強な体を武器に、J1通算得点は歴代15位の101ゴールを誇る。外国籍に限れば歴代5位の点取り屋は今季、金沢でJ3に初挑戦し、11得点を挙げて健在ぶりを示した。

その父の遺伝子を最大限に受け継ぎ、中学2年の現在で身長184センチなど規格外の体格やスピード、技量を誇るフェリペが来季、小学6年まで所属したG大阪の下部組織に、ジュニアユースの一員で3年ぶりに復帰する方向で調整に入った。既に金沢へ退団の意向を申し入れた。

14歳の動向が注目されるのは、将来的に世界で活躍できる逸材だからだ。既に170センチ以上の身長があった小学生時代から、同年代との試合では圧倒的な得点力を見せてきた。父の移籍にともない、フェリペも23年までG大阪、24年は名古屋、25年は金沢の下部組織へ。今年9月には、日本協会の14歳以下のナショナルトレセンメンバーに選出され、実質の年代別代表候補に入っている。

その大器も、来季は中学3年に進級する大切な時期に入る。将来はJリーグでのプロ契約や海外移籍を目標に掲げており、家族会議を経て、よりレベルの高いG大阪でJ1の舞台を目指す決断をしたようだ。

また、父のパトリックは16年、自身の目標に日本国籍取得と日本代表入りを公表したが、現時点で実現していない。24年にはSNSで「あなた(フェリペ)が日本代表でプレーするのを見ることが私の夢」と記し、父子2代にわたる夢だとしていた。

フェリペはブラジルで生まれたものの、1歳から日本で育ち、幼稚園や小学校、現在通う石川県内の中学でも日本の学校教育を受ける。堪能な日本語を含めて、周囲から「ほぼ日本人」と言われている。今後、仮に親と一緒に日本国籍を希望すれば、18歳の成人を待たずに未成年でも取得できる場合もある。

宇佐美貴史、堂安律らを輩出した国内屈指の育成組織G大阪に復帰し、チーム内の競争に勝てば、ユース、さらに数年以内にトップチームへ飛び級起用の可能性もある。パトリック一家が出した決断が、日本サッカー界の歴史を変えるかもしれない。

○…パトリックは今季、金沢でJ3に初挑戦。チームは昇格プレーオフの末、J2復帰はならなかった。現在は来季残留を求めるクラブと交渉中で、仮に他クラブに移籍しても関西に戻れない場合は、息子とは離れて生活することになる。ただ、ソニア夫人が息子について大阪に戻る場合もあり、家族3人による協力関係は今後も続く。

◆パトリック(アンデルソン・パトリック・オリベイラ)1987年10月26日、ブラジル生まれ。母国クラブから13年に初来日して川崎F、甲府、母国一時帰国をはさみ、14年途中からG大阪の3冠に貢献。17年途中広島、19年途中にG大阪、23年京都、24年名古屋と全てJ1に在籍。25年金沢でJ3初挑戦。J1通算328試合101得点、187センチ、85キロ。1人息子フェリペは11年7月19日に母国で生まれ、1歳から日本で暮らし、現在184センチ、67キロの中学2年。夢はJリーグからプレミア移籍で、目標はノルウェー代表FWハーランド(マンチェスターC)。