ルーキーシーズンを終えた岩井千怜が2026年に向けて最初に行ったのは、米ツアーに登録名変更を申請することだった。「Ch…
ルーキーシーズンを終えた岩井千怜が2026年に向けて最初に行ったのは、米ツアーに登録名変更を申請することだった。「Chisato Iwai」から「Chizzy Iwai」へ。過去には世界ランキング1位ジーノ・ティティクル(タイ)のようにシーズン途中でニックネーム登録に切り替えた例もあり、手続きは驚くほどすんなり進んだという。
今年6月のダブルス戦「ダウ選手権」で姉妹タッグを組んだ時のチーム名が、2人の愛称をつなげた「Aki&Chizzy75」。それより前にキャディのマーク・ウォリントン氏が考案し、プレゼントしてくれた名前だった。「『Chisato』って、海外の人は発音しづらいらしいんです。マークが『Chizzy』の方が言いやすいから…と作ってくれて、私も気に入って。それをもっと覚えてもらいたい、呼んでもらいたいということで(登録名も)変えました」
そう話す妹の横顔を優しく見つめていた岩井明愛が「いいね!」とサムアップを決めて続ける。「エンターテインメント的というか、もっと盛り上げたいんです」。米ツアー史上初の双子優勝を成し遂げた1年目は2人でそんなチャレンジを貫いてきたシーズンといえた。
「THE ROOKIES 純真な一年、永遠の輝き」はWOWOWライブで12月20日(土)午後9時から放送
明愛がトップ10入り7回で年間ポイントランキング13位、千怜がトップ入り5回で同15位と堂々の結果を残しつつ、英語でのコミュニケーションにも積極的にトライした。同じフィールドで戦う海外選手に対して話しかけること、ツアーのインタビューもなるべく通訳を介さず自分の言葉で伝えようとすること。単語レベルのシンプルな形になっても、とにかく壁をつくらないという意思を示し続けた。
千怜は「英語はまだまだ全然レベルが低いですけど…」とした上で「でも、効果は抜群だったと思う」と振り返る。明愛も「英語を発することが怖くなくなった」とうなずく。最終戦「CMEグループ ツアー選手権」の期間中、プレーの合間に歩きながら中継局の取材を受ける「ウォーク&トーク」に2人がそれぞれ選ばれたこととも無関係ではないだろう。
そこで自ら「歌っていい?」と切り出し、Jackson 5 の『I Want You Back』をアカペラで歌ってみせた千怜は、まさにエンターテイナーだった。「もう、楽しんでやってますね。(全てを)楽しんでやっていると、不思議とゴルフも良くなる。人生、楽しんだもん勝ちです!」と笑ったマインドは、父・雄士さんの教えによるところが大きい。明愛は「父がいつも『楽しんでこい』って言うので、それが自然と自分たちの脳にインプットされている」と言った。
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プロゴルファーとして、メジャーの頂点に立つことは2人にとっても大きな夢。同じくらい、ともすればそれ以上に譲れない目標として「自分たちのプレーで勇気と元気を届け続けること」を挙げる。まずは自分がチャレンジを恐れず、楽しむこと。その姿こそ見ている人を楽しませ、胸を打つのだと信じて戦う。
最高峰の舞台で大きな一歩を踏み出した2025年。「今年の漢字」を問われ、明愛は「英」をチョイスした。「(寝ている時に)夢を見ると、前までは日本語だったんですけど、最近は自分が英語をしゃべってるんです。それが印象的で、今年を象徴するのかなって」
先に選び終えていた千怜は「ちょっと“落書き”してもいいですか?」と笑ってから色紙を披露した。大きな「声」の一文字を音符が彩る。「英語とか、インタビューで歌もやったり。『声』で(思いを)伝えて、発信してきたかなって」。選んだ漢字が違っても、やはり深いところでシンクロしている。(編集部・亀山泰宏)
<放送日時>
「THE ROOKIES 純真な一年、永遠の輝き」
WOWOWライブで12月20日(土)午後9時から放送
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